「うう・・・これは、ヤバいかも―――。」
という主人公・佑の思いから始まる一節が、
もの凄く理解出来る。
オレも高1の夏休みに、同級生の友人Uと竹芝桟橋からフェリーに乗り
八丈島に行った事がある。
東京湾内を進むうちは良いのだが、東京湾を出ると状況は一変し、
船酔いでしんどい思いをした。
大学2年の時には友人数人と竹芝桟橋(だったと思うが)から
鹿児島の与論島まで2日半かけてフェリーで旅した時は
本当に地獄だった。
八丈島の旅行でも、与論島の時も、佑と同じ二等船室の雑魚部屋で
小説の通り、機械油の匂いとエンジン音で寝ることすら出来ない。
仕方が無いので、甲板で遠く水平線をずっと見ていた記憶がある。
嘔吐することは無かったが、陸が恋しく、一刻も早く到着を望んだものだ。
小説の舞台、小鬼ヶ島はおそらく青ヶ島だと思われる。
青ヶ島村ホームページ (vill.aogashima.tokyo.jp)
オレは青ヶ島に行った事はないので確証はないが、
島の7割近くが西森と東岡という苗字というのは、
森沢氏の架空の設定だと思ったが、
以前大好きで、毎週欠かさず観ていたNHKの番組
「日本人のおなまえっ!」で村民の苗字がほぼ3つしかないと言う
福島県のある村が紹介されていたのを思い出した。
ともあれ、小説の中の季節は夏。
9月中旬になっても未だ夏を感じるこの同じような時期に
清涼感のある清々しい小説に触れ、スカッとした。