とうとう最終回。
ダイジェストのような勢いで最終回です。
泣いたか?と聞かれれば
それは泣きましたよ。号泣ではないですが涙がこぼれ落ちましたよ。
そう来るだろうとわかっていて、案の定そうきたわけですが
「一生懸命生きるから、よろしくおねがいします。」
この言葉は胸に来ますね。
ぐーっとこみ上げてきました。
元来涙腺は緩いほうなのでよく泣くのですが、この演出、このセリフは心に響きました。
そもそも、記憶を失ってしまった尚に真司が自分の小説を読み聞かせるこのシチュエーション自体が、悲しくて優しくて味わい深いものだっただけに余計に、です。
尚の残した動画を見て真司が号泣しても、皆の集まる居酒屋で、母が涙を見せても、後述する理由から心情的に一歩引いた感じで全く泣けなかったのですが、このシーンにはやられました。
さて、不満点ですが、小さいところで言うと、
この期に及んで侑市の母と侑市の和解に時間を割くのか、ということです。でもまあ最小限度で収まったのでなんとか許容範囲ではありましたが。
で、一番の問題点です。
「なぜ飛ばした?」
これに尽きます。
あれだけ聡明で強い意志を持った尚が、記憶を失って壊れていく、まさにその過程を、真司とそして二人の子供である恵一が、どう折り合いをつけ、どのように支え乗り越えていくのか。そこを見たかった、見せてほしかったんです。
結局ドラマで描かれたのは、これから記憶を失って行くだろうという不安と、いよいよそれが進行し始めたその最初の部分だけでした。
一番辛い状況、乗り越えるべき苦難の時間になるはずの「壊れていく尚」を、まるまる「失踪してました。」で飛ばしてしまったのです。
結果描かれたのは、「記憶を失い壊れていく妻であり母を支える家庭」ではなく単なる「母親の失踪した父子家庭」に過ぎなかったのです。
壮大な肩透かしでした。
アルツハイマーで壊れていく人を抱える家庭を描けば、生々しく苦しい描写にならざるを得ないので、そこを避けたのかも知れません。でもたとえ夢物語でも、このドラマのタッチでアルツハイマーでありながら、その中でも幸せを見つけ出すことができる、そういう姿を見せてほしかった、そう思ってしまいます。
松尾のエピソードはカットしてでもその部分は描くべきだったんじゃないでしょうか。小池徹平さんの怪演はなくすには惜しい素晴らしいものではありましたが、それでもエピソード自体は無くても成立したはずです。
尚の動画も失踪しながら撮ったものではなく、真司と恵一と三人で悪戦苦闘しながら生きる中で、真司には秘密で撮りためたものを、尚の記憶が失われたあとに真司が見つけて見たのであれば、もっともっと心動かされるものになったはずです。
いいドラマではありました。感動もしました。水準は超えていたと思います。ですがやはりいちばん見たかった部分を飛ばされた、という思いが残っていまいます。大傑作、大感動作になるポテンシャルがあったはずなのにそれを手放してしまった、惜しい、本当に惜しいドラマでした。
