「SUITS」第3回感想 | 感想亭備忘録

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今回は老舗企業の後継問題。

窮地に追い詰められてそこからの逆転劇で素直に楽しめました。傲慢で切れ者で常勝の上司と新米でありながら天才的頭脳を持つ部下の組み合わせのバディものとして必要条件は満たしていたように思います。

 

アラはありました。

まず博覧強記の天才を演出するためにターゲットの企業の資料を丸暗記させていましたが、それが何の役にも立っていなかった点。せっかくの強烈なキャラクターを活かしきれていません。

もう一つは、もともと持ち株比率54%の大株主である前社長の娘の支持を得ているのですから、取締役会の決めごとに右往左往する必要があるとは思えません。緊急株主総会でも開いて取締役の辞任と新取締役の選任をしてしまえば解決だったんじゃないかと。ゲーム会社の社長が出て来る意味がありません。

 

窮地に陥ってからの逆転を演出するのに、鈴木(中島裕翔)の引っ張ってきたクライアントが役に立ったということで二人の共同作戦的な意味合いをもたせたのでしょうが、無理やり過ぎました。せっかく法律物をやるのだからそのへんのディテールはもっと精密に作ってほしかったと思います。

 

結構大事な部分に大きな粗があったのは確かなのですが、曲がりなりにも主人公二人が力を合わせて逆転、勝利を得るという大筋は間違っていないと思います。ぜひその方向で進んでほしいところです。

 

バディの共闘で勝利を目指す、という基本構造をしっかり描くことがまずは必要だと思うのです。ただしそうなってくると物語的な雑味もしくは不純物とでもいうべきアレコレが気になります。

元親友の妹と同僚女性弁護士の恋の鞘当て的なものは必要でしょうか。もっといえば経歴詐称の偽弁護士という設定も邪魔です。

 

複数シーズンに渡って複雑な人間関係を展開することが前提の本家アメリカドラマと違って、こちらは10話前後で完結する物語です。いらない要素はできるだけ削るべきだったと思うのですが…。