「フェイクニュース」前編感想 | 感想亭備忘録

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まず、北川景子さんは美しいですね。

画面に写っているだけで惹きつける力があります。

 

物語の方は前後編の前編ということで問題提起ということなのでしょうが、少々物足りない気がします。

何がテーマなんでしょう。ネット、SNS、引いては匿名で深く考えることなく拡散されていく不確かな情報の恐ろしさでしょうか。現実の立場や環境、人間関係に縛られることなく発言できるための武器である「匿名」が悪意ある攻撃の手段として利用され、それに便乗した正義を自認するリテラシーの低い無数の人々によって、現実の人間の人生が壊されていく恐怖は確かに存在します。

 

ただ、ちょっとぬるかったんじゃないでしょうか。ドラマの描写。食品会社が青虫問題で攻撃されている時はまだ、主人公にとって全くの他人事といえるので危機感、切迫感がなくても問題ないのですが、記者個人の情報がネット上で暴かれているにもかかわらずそのことに対して怖さを感じていないように見えました。

ネット側の個人攻撃、個人情報暴露もお上品な段階で止まっていたように思います。学生時代にまでさかのぼって徹底的にさらされ、仕事も人間関係も破壊されそうになるぐらいの描写があっても良かったのではないかと思います。

 

そのゆるさを考えれば個人がさらされるネットの無責任で無制限な力の恐怖を描きたいわけではないような気がします。

 

「青虫問題で一つの企業が非難の集中砲火を浴びる」のが第一段階で、「その問題がフェイクであると拡散することで最初に非難されていた企業の印象を劇的に改善する。」という目的のもとに仕組まれたものだという二段階の陰謀。

 

後編でこれをどう料理するのでしょう。

前編を見る限り、無責任で浮薄で知的レベルの低いネットvs真摯に取材を重ね真面目に報道を行おうとする既存メディア、というような部分もちょっと見え隠れしています。

 

「無責任で浮薄で知的レベルの低いバカども」とネット世界を下げる場合、自分もそのバカを構成する一部なんだという自戒が必要です。

野木さんはどういう覚悟で、どういう意図でこの物語に決着を付けるのでしょう。後編で何が描かれるのか、注目です。