残念な出来でした。
長澤まさみさんは縦横無尽でしたし、小日向文世さん根っからの悪人も根っからの好人物も演じてきたそのキャリア自体がこの役にピッタリでした。東出昌大さんは演技の硬さが悪い方に出ていたようにも思いますがまず許容範囲内でした。
各演者さんが演じるキャラクターは面白いし掛け合いやシチュエーションで笑得る所もままありました。
ですが、肝心のコンゲームがあまりにも薄っぺらい。
冒頭スティングのオマージュなのはいいのですが、でもあれは長~い前振りが全て最後のオチにつながって行くのが面白かったのであって、結末だけ見せられても「はあ、そうですか。」としか言いようがないんですよね。まあ、オマージュなのは作中で言及しているので、スティングを知っている人が楽しめればいいと割り切っているんでしょうが、楽しむというより劣化版を見せられた気がしてしまいました。
本編のコンゲームが面白ければよかったのですが、イマイチどころかちょっとどうしたんだろうというレベル。
僕ちゃん(東出昌大)がダー子(長澤まさみ)とリチャード(小日向文世)に騙されているのは最初から明白で、身内の騙し合いは視聴者にはバレバレで、その下りを繰り返されるのは苦痛でした。
ターゲットの赤星(江口洋介)の設定もどうなんでしょう。人を一切信じることが出来ない支配欲と猜疑心の塊、なんですよね?
HP作っただけで架空の空港を信じますか?犬の散歩見ただけで家族構成を信じますか?民間の調査会社ですらあっさり見破れる嘘じゃないですか?
おかしいところは他にも満載です。
巡航中のジェット旅客機は700km/h~800km/hぐらいでで飛んでますよ。荷物を複数落としてあんな範囲に落ちますか?かなり時間経ってから飛び降りた赤星が荷物の直近に降りられますか?
そもそもジェット旅客機チャーターってどうやったって足がつきませんか?実在の航空会社からチャーターした設定なんですよね?
そもそもあんな大人数で詐欺を仕掛けたらどこかから必ず漏れますよ。スティングは最後の大勝負に総力を上げて挑んだんだから(物語的に)許されたのであって、何の因縁も差し迫った必要もない状況であの大仕掛けは無理があります。
ドラマの紹介でも書きましたが個人的にコンゲーム物は好きではないのです。なぜなら難しいからです。スティングという究極の完成形がある以上、どうしても比べてしまいます。
詐欺師がターゲットを騙すだけではコンゲーム物のドラマは成り立たないんです。ドラマ自体が視聴者を騙しきらないと面白さが出てきません。今回で言えば、「リチャードが昏睡状態である」というところと、赤星に追い詰められたところが視聴者の騙しどころなんですが、前者は最初から誰も昏睡状態だなんて信じてないので意味がなく、後者は「荷物を捨てる」というありえなさすぎる行動が嘘くさすぎて緊迫感のかけらも残りませんでした。そもそも同じスーツケース乗ってました?捨てる時同じスーツケースの内半分機内に残してました?
おとぎ話レベルの「めでたしめでたし」で納得できるのなら楽しめるのかも知れません。
「しゅじんこうがわるいやつをやっつけた!やったー!」でそれ以外の部分の整合性や因果関係、ディテールを全く一切気にしない人向けのドラマでした。次回もこの調子なんでしょうか?
