「アンナチュラル」第8回感想 | 感想亭備忘録

感想亭備忘録

ドラマ、映画、小説について感想、解説、批評など。
願わくばたくさんの面白いコンテンツに出会えますように。

 

今回は六郎(窪田正孝)をメインに据えてきましたね。

法医解剖のチームとして人の死に関わり、神倉(松重豊)との師弟的な関係や父との確執から自分の進む道を見つけ出す物語でした。

 

特に父親との関わりは、今回のエピソードのご遺体の親子関係との対比もあって印象深いものでした。自分の父親との関係がご遺体の死の真相を究明しようとするモチベーションになり、その明かされた真相が、自分が父の呪縛から離れて一歩進み出すきっかけにもなっているという六郎個人の事情と今回のエピソードが上手くリンクした構成になっていました。父と決別し帰る場所を失った六郎に、さり気なくかけられる「おかえり」が心に染みます。

 

今回のエピソードそのものは、一見悪人に見えた人が実は善人だった、という謎解きのひとつの王道と言っていい展開でした。その王道を、奇をてらうこと無く堂々と真正面からやってのけたのがよかったと思います。帰る場所を、迎えてくれる人を守るため、父親から受け継いだ技法を使って、文字通り命がけで努力したご遺体の真実が判明した時、素直に泣けました。

この「帰る場所、迎えてくれる人」というワードも六郎の個人的事情とリンクしていますね。

 

それと、あの常連客たちとのスナップ写真は小道具として素晴らしい効果があったと思います。

 

金魚のあざを持つご遺体が現れ、いよいよ中堂(井浦新)の物語が動き出しそうです。六郎がライターをやめ、UDIラボに専念しようと決めたことで、ゴシップ誌の方も何か仕掛けてきそうです。

そういえば、六郎がいた出版社って中堂の殺された恋人が絵本を出版した出版社だったんですね。そのからみでピンクのカバの絵もでてくるようで、いよいよ風雲急を告げるというところ。

さてどんな展開が待ち受けているんでしょう。