「ボク、運命の人です。」第10回最終回 感想 | 感想亭備忘録

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いやぁ、本当に楽しいドラマでした。

 

最初にこのドラマのタイトルとあらすじを見た時は、「見えてる地雷だ」と感じていました。神を名乗る謎の男やら運命の人を自称する主人公やら、設定もこりゃかなりイタいな、と。

でも始まってみれば、あにはからんや面白いじゃないですか。ヒロインに徹底的に嫌われた主人公がどう大逆転していくのかという本筋と、毎回神が出すお題が二人の関係改善にどう役立つのか、という謎解き的な要素、この二つがいいバランスでこちらの興味をひきつけてくれました。特に第6話、お題をきっかけにドミノ倒しのように連鎖して色々な出来事がパズルのように収まっていくのは見てて気持ちがいいぐらいでした。

 

登場するキャラクターも皆、微笑ましかったり面白かったり、イラッとさせられてもどこか憎めないところがあったり楽しい人物ばかりでした。

特に定岡(満島真之介)と四谷(菜々緒)の二人は出色で、最終回でみせたこの二人のプロポーズシーンは名シーンだと思います。何事もポジティブで飾らない二人が、柄にもなく緊張してお互いパニックになる所も、結局は肩の力を抜いて自分たちなりのプロポーズをきちっと決める所も主役の二人を食うぐらい素敵な彼ららしいシーンになっていました。悪女役が多かった菜々緒さんですが自由奔放で正直でチャーミングな女性を好演していたと思います。

 

主演の3人の演技もよかったと思います。亀梨和也さんは、イケメン要素を抑え気味に愚直で真面目で一生懸命な誠を演じきってくれました。普通は断るだろう神の出す変なお題をとにかく一生懸命やっちゃうところなどは彼の熱演がなければ説得力がなく成り立たなかったと思います。

木村文乃さんは晴子という難しい役をよくやりきりました。前半の晴子は、人生がなんとなく全体的にうまく行かず、ずっと憂鬱な表情で少し投げやりになっていました。そこから、誠と関わることで花がほころぶように優しく変化していくさまを自然に表現してくれました。

山下智久さんのあの口調、演技は賛否あると思います。ですが誠はもちろん視聴者をも納得しがたい話に巻き込んで強引に勢いで押し切るには、あの変なノリが必要だったんだろうと思います。そしてあのノリがあったからこそ終盤、去り際の寂しげな佇まいが光りました。

 

重いテーマがあるわけではありませんが、最初から最後までずーっと楽しい気分にさせてくれた本当にウェルメイドなラブコメディーでした。

世間の評価とはかけはなれているのでしょうが、今期のドラマの中で掛け値なしに面白いといえたのは「リバース」と「ボク、運命の人です。」の2本でした。失礼な言い方かもしれませんが思わぬ拾い物という感じです。原作全盛ですがオリジナル脚本でもここまでやれるんだぞ、ということを見せてくれたドラマだと思います。