マークオサムシ Carabus maacki aquatilis


2025/11/29, 秋田県

Length: 35 mm


 幅広で異端な形状の前胸と,エリトラ上の凸凹とした篆刻が特徴的なオサムシ。極めて環境が良い湿地,泥炭地,休耕田に強く依存している。かつては東北地方の水田や溜池などを中心にそれなりの個体数が見られたようだが,開発や耕作地化,湿地の乾燥化が進んだ現代では,本種自体,もしくは本種の生息地がほとんど姿を消してしまった。いまだに多くの湿地環境が現存する秋田県においても,本種が生息する湿地はほとんどなく,県のRDBでは絶滅危惧IA類に位置付けされている。水環境に依存するがゆえに,それだけ人間活動のインパクトを受けやすい虫といえる。

 

 秋田県では,かつて雄物川の流域に産地があることが知られていた。しかし,度重なる洪水や乾燥化などの環境変化に伴い,雄物川流域の個体群は絶滅,もしくはそれにほとんど近しい状況になってしまった。幸いなことに,近年,同じく秋田県を流れる米代川流域から新産地が見つかっている。しかし,環境変化の影響を受けやすいために,今後も本種が安定して生き残り続けるとは断言できず,いずれ,県内からこの虫が完全に姿を消してしまう可能性もあるだろう。


 湿地の王様と呼ぶに相応しい強靭な見た目と,裏腹に環境変化にはひじょうに弱いデリケートな一面。2つを併せ持つこの虫は,高級で,そしてどこか儚い雰囲気を纏っているのだ。