読了。
久々の上橋菜穂子作品である。
ファンタジー小説『鹿の王』の登場人物、医術師・ホッサルを中心とする続編。
『鹿の王』は2015年本屋大賞受賞作で、私は2016年5月に読んでおり、そして、本書『鹿の王 水底の橋』は2019年に発行されている。
実は、単行本の表紙に見覚えがあり、且つ図書館で借りた記憶もあった。
自分は読んだことがあると思い込んでいたが、ブログを検索しても記録が出てこず…もしかすると図書館で借りたものの読めずに返却したのかも…と再び手に取った。
実際読んでみると、物語に全く記憶がなかった。読んでいなかったのだ。
ここで読んでいなかったことに気づいて良かった。
難解なところもあるが、大変読んで良かったと思える作品であった。
鹿の王 水底の橋 (著)上橋菜穂子
物語の世界では、「清心教医術」と「オタワル医術」があり、「オタワル医術」の高名な医術師・ホッサルが「清心教医術」発祥の地・安房那領に招かれる。
「清心教医術」と「オタワル医術」は考え方、治療法が違い、相容れない部分がある。
さらに「清心教医術」内部にも「古流」と「新派」の対立がある。
物語中の、各医術の「穢れ」(禁忌のようなものか)、どこまで治療するのかの線引きなどの考えについて読んでいくうちに、現実の医療についても考えされた。
そして、帝国の政権争いも絡み、大きな事件も起こり、サスペンス要素もあり先を急いで読んだ。
また、医術師・ホッサルとその助手・ミラルの身分違いの恋の行方についても、じりじりしながら読んだ。
最後、新たな道を進みだしたミラルの颯爽とした姿が眩しかった。
これは、その後が知りたいなあと思う。続編が出ないだろうか・・・。
「家庭画報.com」のインタビュー記事で、上橋菜穂子氏が執筆時にプロットを立てないと話されているのを読んで、驚いた。
さらに、本書「あとがき」で「猛烈な熱が心に噴き上げて来ない限り、物語を書くことができません」「ふいにやってくる熱に促されて、書いていくのだと思います」(太字は本書からの引用)とあったので、きっと物語が天から上橋菜穂子氏に降ってきて、熱が吹き上がってくるのだろうなあ。ああ、その物語の「熱」が吹き上げることを祈るばかりである。
さて、上橋菜穂子作品というと、物語に登場するお料理である!
安房那領主家で供された豪華な料理。
「皮をぱりっと焼いてある雛鳥や、ちょっと焦げ目をつけて、香ばしい湯気が立ち上がっている炊き込みご飯、硝子の器に盛られた、みずみずしく、つややかな赤い果実などが所せましと並んでいる」とある。炊き込みご飯の具は、何であるのかが気になる。
そして、「濃紺の絵皿の模様が見えるほど薄く切られている新鮮な刺身の上に、ごく細かく刻んだ色とりどりの野菜が載っている」という大皿に盛りつけられた「オハリの薄造り」は、「肝を魚醤で溶いたタレ」をつけて食べるそうだ。
安房那領主家で、ミラルの接待役となっている女性・兎季が、
「オハリは、なにしろ肝が美味しい魚なのですよ。でも、魚醤に溶いて時間が経ち過ぎると生臭さが増しますから、さっと溶いて、さっとつけて食べるのが一番なのです」とミラルに説明し、ミラルが「上に載っているみじん切りの野菜を包むようにして薄造りを持ち上げ、ちょっと垂れにつけて」食べてみると、「新鮮な魚の身の甘味と、歯ざわりの良い野菜のシャキシャキした食感、濃厚なコクのあるタレの旨味が、いっぺんに口に広が」り、思わず笑顔になるほど美味しかったようである。ああ、私も食べたい。
秘境・花部「竹屋敷」の食堂での食事も美味しそうである。
ケガをしたホッサルに、ミラルが「手早く薄焼きに発酵乳を塗り、山玉葱を刻んだものと茸や青菜をのせ、その上に串から抜いた肉ものせて、くるっと包んで」差し出し、ホッサルが食べてみると「肉は香ばしく、歯ごたえはあるのに柔らかくて山玉葱のピリッとした辛みとよく合った。発酵乳もまた、実に美味い」とのことである。
この薄焼きとはクレープ?串から抜いた肉は何の肉なのだろう…そして「山玉葱」ってどういうものなのだろう。気になる。この発酵乳ってヨーグルト??
これも食べてみたい・・・。
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「一炉庵」の「あんみつ羹」を食べた!
2023年9月に初めて食べて大変美味しかったのだ。
2023年の写真と比べると上部の黒蜜寒天が今年のほうが濃い?
真ん中にこし餡の玉が入っていて、それも何とも美味しいのである。
まだまだ暑い、冷たいお菓子が嬉しい。


