本書は、仕覆作家の栁 順子氏の作品集である。
仕覆を愉しむ (著)栁 順子、(写真)小林 庸浩
本書によると、著者は、古い綿布を扱う「裂屋」を営み、商ううちに仕覆という形で綿布を残そうと思いついたそうだ。
そして、ほぼ独学で仕覆作りを作り始めたそう。
そういう経緯で作られており、そして元々は染織をされていたようなので、作品には伝統的なものもあり、モダンでオシャレなものもあった。
表地と裏地、緒の組み合わせなど、ああ、こんなふうに合わせるのかと、うっとりと眺めた。
仕覆というと、茶道のイメージであるが、煎茶道具、ぐい吞み、徳利、篆刻などなど幅広く作品が紹介されており、塗り弁当箱用の仕覆などは、様々な布がパッチワークのように使われており、その軽快なイメージに驚いた。
とても参考になった。
本書には、香袋、茶入れ、酒袋、篆刻の袴の作り方が図解で紹介されていた。
写真に刺しゅう入りの「へだて」が写っていて、とても素敵だったので、作り方があれば…と思った。
また、村田喜代子氏による掌編小説「亜細亜の手」が収録。
主人公は、個展のために忙しく仕覆を作る女性、タイトルの「亜細亜」はその飼い猫である。
主人公が仕覆を作る様子、その材料の更紗、緒の材料である糸の描写を読むと、「モダン仕覆」教室の宿題(!)の続きをしなくては…という気分にもなるのであった。
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「越後屋若狭」といえば、夏にかの有名な「水ようかん」を味わった。
デパ地下の「銘菓百選」で生菓子を求めた。
お店のある両国に行かずして求められるとは、デパート様、様である。
平らになるよう気を付けて帰宅。
包みを開けると、説明書も入っていた。
こんな感じである。
説明書の「本日のお菓子の御案内」には次のように書かれていた。
「うぐいす餅 小豆餡を求肥で包み周りにきな粉をまぶした品」
「松の雪 雪の衣を纏った松の思いを茶巾絞りにした品」
「うぐいす餅」
求肥餅の中はこしあん、表面はきな粉。
「松の雪」
こちらが感動。よもぎの練切なのである。
もう、絶妙な美味しさ。中はこし餡。
キラキラの白は氷餅である。