サントリー美術館に行ってきた。

 

 

「虫めづる日本の人々」展の後期展示である。

 

今回のお目当ては、伊藤若冲の重要文化財「菜蟲譜」(江戸時代 寛政2年(1790)頃 佐野市立吉澤記念美術館)の場面替え。

 

 

こちらの冊子の上が前回、今回は下のカエルがいる場面が展示。

このカエルさんは佐野市立吉澤記念美術館のwebサイトの様々なところで見ることができる。眺めていると気持ちが和む。

 

 

大幅な展示替え、絵巻などは場面替えがあり、大変見ごたえがあった。

 

「きりぎりす絵巻」 住吉如慶(江戸時代 17世紀 二巻 細見美術館)

 この絵巻は展示のトップバッターを飾る作品となっている。

 前回では豪華な邸宅に美しい衣装を着た虫たちの様子が描かれていたが、今回は玉虫姫の輿入れのシーンである。

 姫君の車はナメクジが引き、身分の高そうな虫はカエルに乗っている。

 

 

 「サントリー美術館ニュース」冊子に掲載されていた場面である。この場面は大変興味深く、単眼鏡でじっくり堪能。

 

「天稚彦物語絵巻 下巻」(江戸時代 17世紀 二巻のうち一巻 サントリー美術館)

 

 海龍王の天稚彦と仲良く暮らしていた長者の娘が、天稚彦の父の鬼からさまざまな難題を課され、娘が難題をクリアしていく様子が描かれているようだ。

 

 前回は、多くの蟻が娘を助けて米粒を運ぶシーンだったが、今回は、娘が鬼の案内で蛇がうじゃうじゃいる建物に入るところであった。開けられた扉の向こうに、蛇がにょろにょろ、うじゃうじゃと多数描かれ、「うへっ」と思ったが、その中に入らなくてはならない娘の表情が楚々としていた。

 

 絵巻って、描かれている物語が、かっ飛んでいて面白い…。

 

「雑画帖 下」 土佐光則(江戸時代 17世紀 二帖のうち一帖 東京国立博物館)

 1辺が13㎝ほどの画面に描かれている。前回は蝶の絵だった。今回はトンボと青い朝顔がとても小さく美しく描かれ、単眼鏡で堪能。

 

「群蝶図」 岸岱(江戸時代 19世紀 一幅 千葉市美術館)

 解説パネルによると「23頭の色とりどりの翅をもつ蝶」を描いているとのこと。画面の中央に蝶が集まっている様子にとても魅かれた。

 

「朝顔図」 酒井抱一(江戸時代 18 ~ 19世紀 一幅 個人蔵)

 「秋の草花である朝顔と葛、そして枝垂れる蔓に螽斯がとまる様子が表されている」と解説されていた。

 青い朝顔、ピンクの葛の花がとても美しい。ああ、やっぱり酒井抱一の作品は美しいと暫しうっとり眺める。

 

「蜘蛛の巣図」 柴田是真(明治時代 19世紀 一幅 板橋区立美術館)

 解説パネルに「大きな蜘蛛とその巣を大胆に表し、工芸作品の意匠を思わせる」とあった。なるほど。

 たわんでいたり、破れていたり、松葉や楓の葉が引っかかっている蜘蛛の巣、そしてその巣の主である蜘蛛が画面の左上部分にに描かれ、広い余白が取られている。その構図にとても魅かれた。又、蜘蛛の巣の糸の表現も素敵だった。

 柴田是真の蒔絵作品も魅力的だが絵画も良いなあと思う。

 

「虫の音」 鏑木清方(昭和22年(1947) 一幅 鎌倉市鏑木清方記念美術館)

 女性が虫の音に聞き入っている様子。女性は紫色の着物にベージュ地の帯でシックだが袖口からのぞく赤い襦袢がアクセントになっている。表装も大変素敵。

 

「甜瓜図」 土田麦僊(昭和6年(1931) 一幅 埼玉県立近代美術館)

 はっとするような黄緑色で描かれており、解説パネルによると「透明度の高い絵具を用いて」とあり、なるほど、と思った。

 

****************************

 

サントリー美術館のある東京ミッドタウンには「虎屋茶寮」がある。

ふと見ると空席アリ!

吸い込まれるように入店してしまった。

 

東京の百貨店でも「すや」の「栗きんとん」の取り扱いが始まったようだし、岐阜県の「仁太郎」の「栗きんとん」の販売も始まっているとのこと(そういえばダイレクトメールが届いていた!)だし、栗のお菓子の季節なのだ!

 

一仕事終えたところ、ということもありコーヒーが飲みたかった。

迷った末、「栗粉餅」をチョイス。

 

 

「とらや」webサイトによると「裏漉した栗と白餡を混ぜた生地をそぼろにして、求肥包みの餡につけたお菓子」とのこと。

 

 

いやあ…じわじわと染み入るような美味しさ。

のんびりムードだった仕事が、少しバタバタとしてきたところだったが、この美味しさで、ものすごくゆったりとコーヒーを飲みつつ、一休みしたのであった。

 

美味しいものは良いねえ。