読了。

1970年台に夫の駐在に同行し、中国の雲南省に暮らした女性が主人公の物語である。

 

雲南の妻  (著)村田喜代子

 

主人公の夫は、中国の少数民族の作る藍染めを取り扱っている商社マン。

現地の旅遊局や茶葉局(こういう部門があるとは・・・)の役人の私邸に、内輪の茶会に招かれていた。(太字部分は本書からの引用)

 

中国では名茶は店で買えるものではなく、それなりの人間のつながりで出会うものだという

 

なるほど。なるほど。中国、特に茶の名産地ではそんな感じかも知れない。

主人公もその内輪の茶会に参加し、名茶を飲む。

 

喉にひたすら無感動な、重い湯が流れ落ちていくうちに体に血が巡り始めふつふつと暖かになって汗ばんでくる

 

茶に酔う、と中国人が言うがこれがその酔いだろうか。脳のどこかに確かにふわりとした酩酊感があるけれど、酒の酔いと違って体は軽くなっていく。凝っていた首や肩に穴が開いてひゅうひゅうと圧のようなものが抜けていくのがわかる

 

うーむ。こんなお茶があるかも知れない・・・。

良いなあ、体験したいなあ・・・と読み進めていくと、

 

だがそんな桃源郷へ到達するまでに、たっぷり小一時間はかかった

 

哲学でもするかのように、粛々とお茶を飲んでいたそうだ。

 

本書には、お茶のついての記述が多かった。

 

ままごとのような小さな茶壺や茶海にびしゃびしゃ湯をかける中国茶は、水遊び。お茶の味よりも茶道具に凝る日本茶は、道具遊びだ

 

こういう主人公の雑感も書かれていた。なるほどねえ・・・確かにねえ・・・。

 

お茶の製法、お茶の淹れ方、様々なお茶の種類・・・主人公が「妻」とお茶の葉を摘む場面もある。

 

・・・物語の舞台になっている、雲南省の少数民族の住む村などでは、女性と女性の婚姻が特別なことでないという設定になっており、主人公の日本人女性は、中国の少数民族であるフイ族の女性と結婚するのである。

 

主人公は、上海に3年、北京に2年、その後雲南省の勐海県(シーサンパンナ・タイ族自治州)に5年間と、合計約10年間中国に暮らして、1983年に日本に帰国したとある。

 

改革開放政策が1978年からで、その前、1976年まで文化大革命ではなかったか。

この主人公は、文化大革命中に上海に住んでいたことになる。

 

そのあたりは、この物語では語られていない。

常春の雲南省の夢のような物語であった。

 

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12月13日に銀座三越地下の全国の銘菓を扱うセレクトショップ「菓遊庵」で求めたお菓子を(小出しにして)楽しんでいる。

 

「祇園 ちご餅」

 

 

祇園祭りにちなんだ餅菓子だそう。しかし、通年提供されているとのこと。

 

 

1包に3つ入っている。

 

 

白味噌が求肥で包まれており、ふわっと美味しかった。

伊藤千穂氏の鳴海織部変形角皿、

福光焼の面取り湯呑み、

村瀬治兵衛氏の沢栗ハツリ盆。