府中市美術館に行ってきた。

 

 

「動物の絵」展である。

 

春の「与謝蕪村展」の記念写真スポット近くに「今年の秋だよ」のコメント入りで、本展覧会のポスターが貼ってあり、チラシも置かれていた。

もちろん、チラシをいただき、大変楽しみにしていたのである。なにせ・・・

 

 

円山応挙の子犬ですよ!!もう、ワクワクしかない。

 

 

入口の記念撮影コーナー。

ちゃんとスマートフォンを置く台や、小さな三脚まで準備されいていた。

後ろのボードには円山応挙の「雪中狗子図」の子犬、

手前は長沢蘆雪の「菊花子犬図」の子犬たち。子弟コラボ!

 

ワクワクしつつも、最初に向かったのは、美術館喫茶室「府中乃森珈琲店」であった・・・。

 

 

手前が展覧会限定メニューで「てごねハンバーグのランチプレート」である。

ハンバーグ/季節の地場野菜/付け合わせ(ピクルス)/ひとくちスープ/有機玄米ごはん

 

奥が「きまぐれ店長のランチプレート」である。

魯肉飯(有機玄米ごはん)/季節の地場野菜/付け合わせ(ピクルス)/ひとくちスープ

 

2セットとも、ガッツリ系という感じ。

満腹になった。

ひとくちスープ、玄米が何とも美味しかった。

 

ちなみに、私が一人で2セット食べたわけではない。同行者のものである。

 

お腹と気分を満たして、展示室へ。

 

 

最初の展示室のパネルに、

江戸時代に「雪の中を歩く熊」をテーマにした絵画が流行し、「どの絵も真っ白な雪と黒い熊の美しさが目に飛んで」くるが、冬に熊は冬眠しているはずである。なぜ雪の中に熊がいるのか?これは食べものを探しているのだろう。当時の人々は、熊の絵を可愛い、きれいと見るとともに、もっと複雑な気持ちで見て、心を寄せていたのではないかというようなことが書かれていた。(太字部分はパネルの文章を写したもの)

 

なるほど、そんな見方を・・・と感じ入った。

 

そして、どどどーんと大作が展示されていた。

 

「象と鯨図屛風」 伊藤若冲 寛政7年(1795) MIHO MUSEUM所蔵

 

解説パネルに、本作品は若冲の母の17回忌に作成されたように書いてあった。

故人の位牌の左右に置けば参列者と動物界を代表する象と鯨がまるで涅槃図のようにともに故人を拝するような形に」 とのことだ。

 

 

チラシの真ん中にあるのが本作品。

右の象は「涅槃図によく描かれている泣いている象」と同じポーズとのこと。

・・・・なるほど。確かにそうかも。

 

本作品はこれまでに他の美術館で鑑賞したことがある。

私は単に、海の王者・鯨VS陸の王者・象・・・かなー、と思っていたのである。

 

いやあ、こんな見方があったとは。

そう考えると、鯨の潮吹きが「弔砲」のように思えてくる。

 

「叭々鳥図」 甫雪等禅 室町時代(16世紀)  個人蔵

 

会場で配布されていた「画家解説」によると、甫雪等禅(ほせつ とうぜん)は雪舟に学んだことがあるそうだがあまり詳細はわかっていないようだ。ふむ。

描かれている叭々鳥が、大変生意気そうな感じで、ふと、NHKのテレビ番組「チコちゃんに叱られる」のカラスのキョエちゃんを思い出した。

 

「猿の坐禅図」 岸勝 江戸時代後期-明治時代(19世紀) 個人蔵

 

岸勝(がん しょう)も詳細がわかっていない画家のようだ。「画家解説」によると、明治の画壇で活躍した岸竹堂の弟子だったという資料があるそうだ。

作品は、坐禅を組んだ猴1匹が描かれている。

このお猿さんが私には小学校低学年の男子に見えるのだ。「うーん」と歯を食いしばって坐禅を組んでいる。描かれている本人(?)はとても真剣のようだが、大変可愛く見える。好きかも。

 

「蛙の股潜り図」 河鍋暁斎 江戸時代後期-明治時代(19世紀後半)  個人蔵

 

河鍋暁斎というと、おどろおどろしい絵を描くイメージを勝手にもっていたが、本作品は「鳥獣戯画」のようなユーモラスな蛙たちがあっさりと描かれている。

 

絵が素晴らしいのはモチロンだが、私は表装に大変惹かれた。

 

天の部分は、「山藍摺」とか「殿茶」とか・・・(日本の伝統色の紹介サイトで調べた)深緑に灰色をまぜて薄くした感じの色だったと思う。

中回し部分は、紫とコバルトブルーをまだらに混ぜた感じで、紗綾形に花が組み込まれているような地模様がついているように見えた。

一文字部分は1センチ弱くらいの狭い幅で、しっかりとどんな模様の裂が使われていたか分からなかったが、赤や紫などのリバティの小花模様っぽい感じに思った。

非常に曖昧なメモだが、とにかく素敵な表装だった。

 

(その2につづく)