またまたanthony priceの作品を読んでしまった。彼の作品は決して読みやすいわけではないのだが、やはり200ページという短さが手ごろなのだろうか。

 

今回もまたテーマは地味だ。イギリスのアーサー王伝説とサクソン人の英国侵入が中心に据えられている。これまたあまり日本人にはなじみがないテーマ。これでは翻訳されなかったのも納得がいく。ワテもMark Twainの「アーサー王宮廷のヤンキー」をだいぶ昔に読んだことがあるが、イギリス人だけでなく、アメリカ人にもそこそこなじみがあるテーマなのであろう。

 

さてこの起源6世紀を舞台とする伝説が、どのようにして現代の諜報機関と絡み合うのか。結論からいうと、かなり無理筋としか思えない形で関連付けられているのだ。

 

舞台は1974年の秋だろうか。そう、ヴィエトナムからの米軍の撤退は始まったが、Watergate事件により、Nixon大統領が辞任して、CIAのそれまでの裏の活動が議会で問題になり始めた時代だろうか。このような時代を背景として、英国にある米軍基地のパイロットが偵察飛行中、事故で行方不明となる。この事後処理をしていく中で、このパイロットのアーサー王伝説への異常な関心とソヴィエトとの関りが表に出てくるのだ。この謎を解明するために、CIAは夫婦というカバーストーリを持つ二人を英国の情報機関のDavid Aubreyに偶然を装って接触させるのだ。なぜAubreyが選ばれたかはあまりよくわからない。とはいえCIAが本来友邦である英国の情報機関に作戦を仕掛けるというのは、露呈してしまうと大スキャンダルともなりうる、ご法度ともいうべき作戦なのだ。

 

このAubreyの周りには様々な学者や専門家がうごめいており、この二人のアメリカ人が、これらの人物との対話を通して一歩一歩、このアーサー王伝説をめぐる謎に読者は接近していくことになる。ただこの部分はpedanticな色彩が強く、興味がない読者には耐えられない部分だろう。

 

最後の50ページぐらいから、場面は急速に展開し、過去のアーサー王伝説を含む2つの謎は解明される。この二つの謎が交錯したところでの、米軍の対応のまずさが、この作品の肝なのだ。そこに付け込んだのが、KGB。ただ、どうも今回の事件を仕組んだとされるKGBとの関りの部分の説明が不十分だ。最初の発端でもある、パイロットの行方不明の事故も、事故なのかそれとも仕組まれたものなのか。後者なら、だれが仕組んだのか、どうも判然としない。最後の場面もよく理解できない。

 

やっぱりミステリーの王道から見ると、邪道。Plotは二義的だとする作品は多数ある。雰囲気と登場人物の対話を味わう作品と言われてしまえばその通りだが、ここまで、説明が曖昧なままで強引に結語までもっていかれてしまうとね。となると作品の分量の短さは弱みか?