前から気になっていた作品。やっと図書館で借りてきて読了。

 

著者の作品は、だいぶ前に「朝鮮王公族」という作品を読んだことがある。

 

ただ本作品は、前評判とは違い、なかなか読みにくい作品。

 

まず、朝鮮半島の歴史と謳ってはいるが、扱われているのは、あくまでも14世紀後半の高麗から李朝への易姓革命以降の時代に限られている。

 

また叙述が散文的でどうも退屈してしまう。さらに、読みにくくしているのは、朝鮮の皇帝の名前だ。もともとあまり知らない上に、似たような名前が延々と続き、円滑な読書がどうも妨げられてしまう。

 

さらに話を複雑にしているのは、本書の主題でもある朝鮮の「政争」のわかり難さだ。正室や側室に関わる外戚制度や終わることのない派閥抗争が、これでもかというほどいつの時代にも繰り返され、そこに小中華意識に関わるイデオロギー論争も関わってくるとなると、話がますます混乱してくる。どれも矮小で無意味な論争とはいえ、もう少し、わかり易く、この「政争」の部分を整理することはできなかったかな。

 

そして、半島の常として、そこに決定的にかかわってくるのが、地政学的な周辺大国の勢力争いだ。これにより、17世紀に朝鮮は「独立」を失い、名実ともに、清の属国となり、日清戦争後に独立門が建設される1896年まで、属国としての時代が続くのだ。そういう意味では、朝鮮の李王朝もある意味では、消え去る運命にあったインドの藩王国のような存在だったのかもしれない。

 

このやっと回復した独立もわずか10年強で、日本に併合されて、その短い歴史を終えてしまう。しかし、朝鮮半島の帰趨は、外部のパワーバランスに決定的に影響される。わずか30年後には、今度は日本の退場と米ソの勢力伸長に伴い、それに呼応した内部の政争により、南北朝鮮という分断国家が出来上がるのだ。ここでは東西ドイツと異なり、対立は冷戦にとどまらず熱戦にまで転化してしまう。政争の激しさの現代版だ。そういう意味では、いつも朝鮮半島は、この半島の歴史のサイクルに回帰していくのだ。

 

というわけで、あまり新味はなかった作品だった。学術書ではないが、だいぶ前に読んだ、石平氏のこちらの作品の方が面白かった。