類書があまりないので、期待して手に取った作品。その分、以外にも失望も大きかった。

 

タイトルの「宗教ナショナリズム」だが、この宗教ナショナリズムが何を示しているのか、最後までわからなかった。端的に言って、宗教とナショナリズムは対立する側面がある概念なのだが、これが矛盾なく結びつき共存するのがアメリカなのだろうけど、この部分の論理的な整合性が最後までわかり易くは説明はされていない。

 

また著者は文章があまりうまくない。細かい文章や用語の間違いや意味のとれない部分も多々見受けられる。もっともこれは編集サイドの責任もあるのだろうけど。

 

さらには議論も結構荒い部分も見受けられる。こんなに割り切ってしまっていいのと思われる政治的な発言が突然現れるのだ。挙句の果てはコロナ対策にまで議論がたどり着いてしまう。

 

だいぶ厳しい評価をしてしまったが、本書にも利点はある。本書の特色は、これまであまり知られていない事実を多々紹介している点だろう。福音派、カソリック、関連する大学、保守的シンクタンクなどの紹介は参考になる。

 

また21世紀のアメリカと19世紀のイギリス(オクスフォード運動、国教内で起きたカソリック・リバイバル運動、福音派の活動の活発化、ボランタリズムの台頭、キリスト教シオニズム)の比較などはユニークな視角だ。ただこれらの興味深い事実が、ある明確なテーマの下で新書の読者向けにわかりやすく整理しきれていなのだ。