伊之助シリーズの第三作目で最終版。これでこのシリーズは完結。amazonoに載っている作品の紹介は以下の通りだ。
「何者かに刺殺された島帰りの男の過去を探るはめに。綿密な捜査を進め、二十五年前の三人組押し込み強盗事件に辿りついた時、彼の前に現れたあまりにも意外な犯人と哀切極まりないその動機―江戸を流れる河に下町の人々の息づかいを鮮やかに映し出す長編時代ミステリー」
うーん。そうなのかな、という疑問が浮かんでくる。
本書のスタートは見事。作品にぐいぐい読者を引き込む。事件の発端の設定もなかなか。途中までの展開もいい。しかしだ、本作品は500ページもの長編。途中からというか、いやどちらかというと終盤に入って、話がそれまでのラインから急展開するのだ。
ストーリーの急展開それ自体を否定するつもりはない。ただ展開のヴェクトルがぶっ飛んでいるのだ。吹っ飛び過ぎて、それまでに緻密に掘り下げられた積み上げられたストーリーがどこかに跳んでしまっているのだ。このようにぶっ飛ぶ必然性が弱い。この展開と共に、新しい登場人物が、急に現れ、人間関係がさらに複雑化。読んでいて、人物の名前も整理がつかなくなってくるのだ。今回は登場人物が多すぎるのか。
そういえば、不思議なことに、藤沢の作品、これまで読んだ作品を振り返って見ると、「登場人物を簡潔にまとめたページ」がどの作品にもなかったような印象がある。というわけで、もう一度、ページを前に遡るのだが、もちろん本書には索引もないし、どこまでさかのぼればいいのか、非常にやっかいだ。
本作品の最後もシリーズの終了にふさわしい結末にはなっていない。シリーズの中でそれなりの役割を果たしていた周りの人物の将来も放り出したままだ。
藤沢という作家、読み進むほど、なぜこれほど人気があったのかが、ますますわからなくなってくる。これは昭和という時代と彼の作品の関わりを探らなければいけないのかな?
