銀行から茶封筒が届いていた。
何だろうと思ったら、支店閉鎖の連絡だった。
ただ文面は分かりにくい。文面上は支店閉鎖ではなく、電車で10分ほどの近隣のターミナル駅にある別の支店への移転のお知らせという形を取っている。文面も事務的で、いわゆるtake it or leave itのフレーバーが強く漂っている。こんな一流の大銀行がこんな書面を送る時代になったのかとの感を新たにする。
これを受け取った人、はたして一読してその内容がわかるのだろうか。
じっくり読んでみて、実質的には支店閉鎖という重大なメッセージがやっとわかるのだ。今頃は支店の担当者に電話が殺到だろう。
よく考えてみると、閉鎖という形にすると、銀行の支店コードが変更になり、多大な追加の事務的なトラブルが顧客に発生するからだろうか。公共料金の口座引き落とし、クレジット・カードの引き落とし、年金の受給などで、銀行口座はもはや携帯の番号やアドレス以上の「公共財」。この変更は多大な労力を顧客に強いる。巨大なswitching costだ。近くの他のメガバンクへの変更も考えたが、この諸手続きの手間、そしてそれらのメガバンクの支店もいつまで存在するのやらを考慮すると、結局この移管を受けるしかないとの結論に達する。
銀行はもはや昔のような産業ではない。もはや顧客は、「店頭にはくるな」、スマフォを使ってネットバンキングに移行しろというメッセージだ。ATMだっていつまであるのやら。
口座維持手数料や支店の閉鎖はもはや時代の趨勢。
この支店は数奇な運命をたどった支店だ。もともとは新しく開発された分譲団地の側にオープンされた相互銀行の支店だったようなのだが、1980年代後半に、経営難に陥り、ある都市銀行に買収されて、名前が変わったようだ。当時は新しく店を開くのが業容の拡大に即つながった時代。ただし新規の店舗の開設については当局の出店規制が厳しく、問題を抱えた銀行の「買収」がその限界を突破するただ一つの手段だった。その当初の場所も、90年代に入って過疎と高齢化でさびれたため、現在の場所に移転したのが、15年ぐらい前か。店の業務は住宅ローンと投信販売に特化していたのだが、とうとう今回は閉鎖。もはやこの町には、この銀行の支店を支えるだけの財力を持った将来性のある顧客がいないというわけだ。
ただこの指定された支店への移管だが、このターミナル駅には最近あんまり出かけないのだ。そして一番の問題は貸金庫。これはネットバンキングでは代用できない。
