ユダヤ人とユダヤ教
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ユダヤ人とユダヤ教 (岩波新書)
842円
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このテーマの重要性と普遍性そして西欧思想史との抜き難い関連性にかんがみて、ユダヤ関係の本(Holocaust, Zionism, Herzl, Jabontinsky、革命運動等)はもう20年以上にわたり、時々思い起こしたように手に取ってきた。ただ究極のところで、この対象のわかりにくさと日本人にとっての縁のなさにより、素人の手慰みとして渉猟するのはやめることにしたテーマでもあった。とはいえどうしても時々気になるのである。
本作品については、日本人の専門家の著作であり、amazonのreviewでかなり高い評価が記されていたので、読んでみた。が、中身はどうだろう。俗的な小話や一方的な解釈は排されている。丁寧にこのつかみにくい対象に接近しようとした跡はたしかに見て取れる。織り込まれたテーマも多彩(歴史、信仰、学問、社会)でその歴史的射程も広く長い。ユニークと思われる視点(セム的一神教に対する根深い西欧のコンプレックス)も提示されている。ただ、論点は決して掘り下げられることなく、たださりげなく触れられるだけである。結果として読者が対峙するのは、わかりにくい作品なのだ。
これは著者の力量に起因するものだろうか?それとも2000年以上の歴史の風雪に耐えてきた対象の本質的なわかりにくさと取っつき難さに由来するものだろうか?おそらく後者の要因が主だろうが。この作品を最初に読んだらおそらくちんぷんかんぷんであろう。これがこの対象の接近しがたさかとの感を再確認した。というわけで初学者にはお勧めしない。そして日本人はこのテーマに関してはみんな初学者なわけだ。むしろ本書の「文献解題」に収められたいくつかの参考文献の方にわかりやすい作品が散見される。Paul Johnsonの「Jews」やIsaiah berlinの著作だ。

