印象派絵画やアール・ヌーボーの作品についてはいつも浮世絵の影響が語られる。これは僕にとっては、語られることのみ多い公理のようなものであり、その実態並びに有り様については正直なところ全くの無知であった。芸術作品のディテールが欠落することにより作り出されたイメージは別のイメージに簡単に乗っ取られてしまう。「幻想」やオリエンタリズムとしての日本に比重を置いたジャポニスム理解だ。
今回、この作品を読んで、19世紀後半のジャポニスムが思っていた以上に深くそして広く西欧のアートシーンに影響を与えていたことがわかった。色彩、空間そして線という技術的な観点そして山頂と裾野という射程を広げたアプローチにより、浮世絵が様々
な有名な作品(絵画からグラフィック・アートまで)に与えた影響がわかりやすく説明されている。これにより、ジャポニスムという一大歴史現象についての理解が深まった。そう、それは日本という独特の文化体系が触媒として西欧の社会に幅広く引き起こしたさざ波なのだ。そしてそのユニークで特異な視角は究極のところ日本という色を脱色し、モダンアートの奔流の中へと発展的に解消されていったというわけだ。となると現在の日本ブームも先の方向が見えてくる。
