勝手に論愚選
【日経俳壇2026.07.25】
[横澤 放川 選]
妻恋うて一人座す森青嵐 (東京 大津 隆文)
(評)ひとを思って野辺をたもとおるのは万葉以来の日本人のこころ。純潔なひとの思いを洗うのがこの青嵐。しみじみと滋味を覚える句だ。
大国は大国愛す酷暑かな (山口 吉次 薫)
もう誰も見上げぬ夏の燕かな (北名古屋 月城 龍二)
雲の峰小売り史変えし漢逝く (東村山 副島 健)
(評)鈴木敏文氏逝去(せいきょ)と前書されている。変動変遷を常とする市場経済だが男一語がその奮闘への讃。
雲の峰父の教えの性善説 (町田 湯浅 強)
雨風も囃(はや)す博多の祭かな (尾張旭 古賀 勇理央)
湯餅(とうへい)を進む讃岐の麺宜し (大船渡 桃心地)
抜きんでる若竹美しき売り家かな (神戸 小柴 智子)
妻もゐる菜園もある星涼し (鹿児島 齋藤 健夫)
生命(いのち)祝(ことほ)ぐ教皇(ポープ)殺(そ)ぐ王麦の秋 (埼玉 酒井 忠正)
卯の花月夜母の故郷うすれ行き (町田 吉野 和子)
遠き日の渡り廊下の風青し (横浜 宮崎 一風)
[神野 紗季 選]
喪服脱ぎ捨てて大の字扇風機 (志木 谷村 康志)
日の差して森は水底蝉しぐれ (川崎 平澤 元康)
採血は無痛涼しく囁かれ (倉敷 山本 一穂)
垂乳根よ我も野良着が似合い首夏(長野 中根 みち子)
夏空のコンビニモノクロの袋 (鹿児島 町田 都美子)
な恐れそ大山蓮華の夜の闇 (豊中 森下 すず)
玄関の傘立てにある捕虫網 (川崎 久保田 秀司)
スポーツ紙の湿りで梅雨を感じてた (東京 大島 光信)