勝手に論愚選 【朝日俳壇2024.03.03】 | 論愚阿来無の欠伸日誌(ろんぐあらいぶのあくびにっし)

論愚阿来無の欠伸日誌(ろんぐあらいぶのあくびにっし)

「小人閑居して不善を為す」日々大欠伸をしながら、暇を持て余している。どんな「不善」ができるのか、どんな「不善」を思いつくのか、少し楽しみでもある。

 アラコキ(アラウンド古稀)世代が、何に夢中になり、どんなことに違和感を覚えるのかを徒然に綴っていきたい。

勝手に論愚選
【朝日俳壇2024.03.03】
[小林 貴子 選]
春掴むセイジ・オザワの指の先 (茅ヶ崎市 河重 卓三)
(評)掌を広げて虚空を掴むしぐさもあった。小澤征爾の指揮。今、その魂は春浅い天上へ、深悼。
干したきは己代りに布団干す (南房総市 山根 徳一)
如月の兜太の遺影書架にあり (川口市 青柳 悠)
どっこいしょ土を転がす蕗の薹 (厚木市 北村 純一)
ため息のふかさにへこむくず湯かな (日立市 加藤 宙)

[長谷川 櫂 選]
原発のほかは蕪村の春の海 (栃木県壬生町 あらゐ ひとし)
(評)のたりのたりとはゆかぬ原発。
聞きたしや子どもの声の鬼は外 (東京都大島町 大村 森美)
妻の居てこれ初夢と気づきけり (上尾市 清水 昇一)

[大串 章 選]
生き生きと流るるさまに滝凍る (北茨城市 坂佐井 光弘)
(評)白く輝く凍滝は壮絶で美しい。まさに「生き生き」と流れる感じ。
初めての囲炉裏隣に雪女 (名取市 相澤 ひさを)
薄氷に淡き光の遊びをり (茅ヶ崎市 藤田 修)
梅園の山なだらかに香りけり (下田市 森本 幸平)
春立つや水脈長々と沖目指す (柏市 藤嶋 務)

[高山 れおな 選]
どの窓も叫ばず冬灯ともしけり (東京都杉並区 漆川 夕)
巨匠逝く昭和九十九年春 (岩国市 上村 素子)
をりづるをほどくがごとくはるのゆき (苫小牧市 齊藤 まさし)
春雷や小澤征爾と擦れ違ふ (秦野市 加藤 三眠)