きみの靴の中の砂

きみの靴の中の砂

このサイトは "Creative Writing" の個人的なワークショップです。テキストは過去に遡り、随時補筆・改訂を行うため、いずれも『未定稿』です。

(S/N 20260715-2 / Studio31, TOKYO)

 

 

 

 

 水口イチ子のお三時読書  ——  新刊 和田まさ子『平たい土地になりながら』思潮社 2026。

 

 音読して、いつも気持ちのいい詩であり詩人である。情景に馴染む日本の言葉が選択されているのも推し! 熟達した視点に、時折、若い詩人の視点も混じる。

 

 最近の個人詩誌『地上十センチ』からの転載もあるが、力作だけに含めずにはいられなかったのがわかる。

 

 

(S/N 20260715 / Studio31, TOKYO)

 

 

 

 

「嘘と作り話とはぜんぜん違うわよ」とイチ子さん。

「人を落とし入れるのが嘘、そうじゃないのが作り話」とも言う。

 加えて、

「あなたがよく言うのが嘘、アタシのは作り話。例えば、アナタが愛してるよと言うのは嘘、アタシもよと返すアタシのは作り話」。

「ということは、本件は、なんでやねん案件ですね」とぼく。

 

 

 

 

 

【The Freewheelin' Bob Dylan - I Want You】

 

 

(S/N 20260714 / Studio31, TOKYO)

 



 

 欧州地図を広げて眺めていた。

「フランクフルトって、どこか見どころある?」とイチ子さんに聞くと、

「ハブ空港だから、そこからヨーロッパのいろんなところへ乗り替えていく人が多いわね。まあ、今のあたしならアリタリアにトランスファーしてナポリかな」とイチ子さん。

「新宿で丸ノ内線に乗り換えて...」みたいな感覚で世界旅行を語る人っているんだと感心した。

 

 

 今はなくなってしまったが都内のあるパイプ屋さんに、客として二人の老齢の紳士がでいた。

 ひとりが話しかける。

「随分めずらしいパイプをお持ちですね」

「ああ、これは昔ニューヨークに駐在していたときに買ったものなんですよ」

「まさか、○丁目の交差点の角にあったパイプ屋じゃないでしょうね」

「そうですよ、なんでご存知なんですか」

「私もニューヨークのオフィスにいたときは、アソコ良く使いました」

 世界を町内のようなスケールで話し合う人達もいるんだと、これまた感心したもんだった。

 

 

 

 

 

【Larry Carlton - I Can't Tell You Why】

 

 

(S/N 20260713 / Studio31, TOKYO)





 アメリカ西海岸で生活すると、すぐに独特な風土に気付く。
 まず、その日の天気図の配置により四季が日替わりでやって来る。当然、衣替えという習慣はなく、クローゼットには通年、四季の衣類を用意されることになる。『昨日は夏だったのに、今日は朝から晩秋のような天気で、ようやく昼過ぎから春めいてきた』などいう日もめずらしくない。

 また、西海岸では傘を持っている人が少ない。

 それは、雨の日に傘を持ち歩く人が少ないという意味ではなく、そもそも傘を財産として持っていない。家に傘はないのかと聞くと、探せば一本くらいどこかにあったかも知れないと答えるほど。まあ、年間雨量が少ないこともある上に、雨に濡れること自体、拭いて乾けば済むじゃないかという地域住民性も背景にある。傘を持たない代わりにその代用品としての帽子は一人いくつも持つ。

 土地に起伏があっても、日本のようになるべく水平に道を作ることもなく、また、加州などは路肩に排水溝の設置もない。つまり、ちょっとした雨が降れば道の低いところは冠水する。余程のことがない限り、それはニュースにもならず、みんな勝手に迂回していく。西部開拓時代に迂回を繰り返しつつ西へ向かっていった頃からの伝統なのだろう。



 

 昨日は友人の結婚式があって、その流れで旧友と夜中まで遊びまくった。予報どおり、夜更けて雨に祟られた。

 

 





【The Three Degrees - Can't You See What Youre Doing To Me】

 

 

(S/N 20260712 / Studio31, TOKYO)

 

 

 

 

 Word Senseという言葉がある。話したり書いたりするときに使う『最も相応しい言葉を直感的に選択する能力』を指す。日本語の訳語で一番近いのは『語彙力』か。

 

 誰だったか、『一緒に暮らすならワードセンスの似ている人がいい』と言っていた。共同生活する条件としては、ないよりはあった方がストレスの軽減に役立ちそう。

 

 文献なり小説なりを読んでいて、不思議と文体がしっくりくる著者がいる。それも言ってみれば、著者と読者のお互いの語彙力、つまりワードセンスが半ばシンクロしているのがその理由と言える。

 

 

 

 

 

【The Searchers - When You Walk in The Room】

 

 


(S/N 20260711 / Studio31, TOKYO)

 

 

 

 

 

庭で収穫した無花果が干しあがったから取りにいらっしゃいと腰越の叔母から電話あり

 

 

日盛りに自転車で出かけた

 

 

プラスチック・バッグの中に握り拳くらいの量のドライ・フルーツ

 

 

帰途、鵠沼辺りから驟雨  ——  シャワーの中を急いで帰った

 

 

 

 




【Percy Faith and His Orchestra - Come Saturday Morning】

 

 

(S/N 20260709-2 / Studio31, TOKYO)

 

 

 

 

 久し振りに南中を待たずして  ——  午前中から  ——  早くも華氏八十六度を超えた。

 

 

 さっき庭木に水をやっていたイチ子さんだったが、今は木陰に吊したハンモックで恒星のようにジッとしている。

 

 

 

 

 

【ティン・パン・アレー - ソバカスのある少女】

 

 

(Roland Topor 1938-1997)





  昔あったフランスのアナーキーな雑誌『アラキリ(Hara-Kiri、ハラキリ)』で知った変な作家ローラン・トポールは、並の美食家ではなかった  ——  デザートに『すもものタルト』を好んだという。

 まあ、そんなことで、最終的に彼の肉体は、当然のように太くなっていったのだったが...。

 






【Bola Sete & The Vince Guaraldi Trio - Outra Vez】