「最近の若いもんは根性が足らん。もっと気合を入れてもらわんと困る」

 

先日、60後半の社長とお話していた時に、苦々し気な口調で言っておられました。

 

今日、あの人とランチしていた時にそのことを話し、「どう思う」と訊いてみました。

 

「根性と気合で仕事ができるんやったら、苦労はせん」

 

笑いながら答える。

 

以前にも書きましたが、あの人が最初に勤めた会社は月の稼働時間が最低でも400時間、週休2日制がない時代です。で、残業代はまったくなし。

 

電車のある時間には帰ることができないので、ある時から車通勤。

で、交通費はガソリン代ではなく、安い方の定期代。

 

「転職してな、夏の7時頃に会社を出るとまだ明るいんで、ほんま罪悪感を覚えたわ」

 

「そんなに早くに帰って(というのもおかしいですね)お仕事に支障は出なかったの?」

 

「それがな、生産性は一緒やった。これまで残業や徹夜してたんはなんやろうってな」

 

「本当に?」

 

「まあ、前の会社のお陰でスキルアップしてたってのもあるやろうけど、今日も帰りが遅いとか徹夜やなんて思うたら、無意識にだらだらするもんやろうな」

 

前の会社の社長は、夜の10時過ぎに顔を出して、帰ろうとしている社員を見かけると平気で1時間は説教、その時に帰っていた社員には翌日に説教していたそうです。

 

あの人も、二日徹夜した後に、夜の10時に帰ろうとしていたところを社長に捕まり、解放されたのは日付変更線を少し過ぎてからだそうです。

 

「ブラック会社で生き抜くには根性や気合は必要やろうけど、まっとうな会社やったら、どうやって生産性を上げるか、効率を考えるほうが大切や」

 

それに加えてあの人の時代は、鬱やパワハラやブラックなんて言葉はなかったか、あっても浸透していなかったそうで、一晩の徹夜くらいで音を上げていては使い者にならないとレッテルを貼られるような風潮が蔓延していたそうです。

 

だから、根性や気合なんて言葉が平然と出てくる。

 

「ほんま、くだらんことや。今でも、根性や気合は大切やと思うで。しかし、それを上司が口にしたらあかん。上司は、仕事の内容を的確に伝えて、わからんところがあったら答えるだけや」

 

前述の社長とそんなに歳が変わらないのに、この思考。

 

と思ったら、シビアな言葉が続きました。

 

「まあ、根性も気合もない奴は、まっとうな会社で働いとっても伸びやせんやろう。そういった意味では、今の時代の方が甘やかされてる分だけ可哀想かもしれんな。俺みたいな甘ちょろいやつは、今の時代には使いもんにならんかったかもしれんな。今の時代は、そういう社員でもいかにして働かすかやのうて、戦力になるようにいかに働いてもらうようにするかやろうな」

 

昔は昔、今は今。

 

どちらがいいとか悪いとこではなく、時代が違うのです。

 

大切なのは、昔を引き摺ることなく、時代に迎合することなく、時代に適応していくこと。

 

これも、あの人の言葉です。

 

私も、本当にそう思います。

 

 

よい明日を