船上の花見  | バーテンダーは心の名医

船上の花見 

 花見にはお出かけになられましたか。

 きっと遊び人風の花見なんでしょうね。

     (金沢の綺麗どころ)

 コロナ騒ぎのここ三年間海に出て、船上から山桜の観桜会を開いている。

 観桜会と言っても、片町漁業協同組合(片漁連)という釣りの会の観桜会で、 

 桜四分一、釣り四分一、酒四分一、釣り立ての海鮮四分一という、ロー・フィッ

 シュ(釣り立ての生魚)を食べる会の花見である。

  一様に見な調理人で出刃と刺身包丁持参である。飯は酢飯、葱、生姜を朝

 叩き込んだづけ汁を一升瓶に詰め、各自ステンレスの自前の丼を二枚持参で

 沖に出る。海からポイントに着くまでちらりと桜に目をやるが、心は釣果に飛ん

 でいる。先ずメゴチ、キスを釣り上げると、早速春鯛に向かう。その頃には素

 早くメゴチもキスも天婦羅ように開いてある。はえ縄を流し鯛が連れあがると、

 山桜の咲く絶景ロケーションにアンカーを沈めると、各自鯛をおろす者、天婦

 羅を仕掛ける者、一升瓶とワインを海につける者と、兎に角素早い漁業組合

 員である。でっかいステンレスバットにづけたれを放り込むと、分厚く切った鯛

 切り身を放り込む。ぐるっとかき混ぜ15分待つ。天婦羅鍋にキスとメゴチを放り

 込む。小のアルミ鍋に酒をつぐ。

  乾杯

 もあったものではなくキスに、メゴチに食らいつく、。

  ムッチー、ほろほろ、甘い、

  身をよじる。

 グビ、グビ

  冷えた酒が一気に胃袋まで真っ逆さまに落下する。

 き、効く―

  メゴチ、この春短大に入学したばかりのお味

 しっぽが控えめの化粧のように初々しい。さくさくと口の中で謙虚に悶えていく

  酒頂戴

 あれれ、あっという間に天婦羅終了

 ボールに酢飯をよそう。

  タイのその場つけ、酢飯にのせてガブリ

 嗚呼、ああ、あー  塾女、それもとびっきりの熟女 よ、よじれてしまう。

 

 忘れていたさくらさくら。清楚極まりない山桜、日本人ならああなりたい。

 という、片漁連の「船上の花見」 でありました。

  来年は酢飯は二升にしよう 。ちょっと足りなかったなあ、