情報の発達していない時代、どうやって旨い店を探し当てていたのですか
問
今みたいに情報の発達していない時代、どうやってうまい店を探し当てていた
のですか。
(SN S子)
答
遊んでないのが喜んで乗せちゃう今の時代、コースだ、星だ、12席の店で行列
だ、6人入ったら満員で予約が取れない、ビルの二階だ、借入店舗だ、有名シ
ェフは店に出ずにテレビに出る、SN S子ちゃん、SN、S男のコンビニグルメ食
通、底がないから情けない という前振りは置いといて 私の上店(じょうた
な)情報は
落語の 『王子の幇間(たいこ)』 です。
私どもバーテンダー稼業の者は、芸者さんと一緒で粋筋者です。お客様する
のも、ご紹介するのも、アンダー店なんか、ご紹介するようだと
「なんだいお前 良い遊びも知らないで、良いものも、良い酒も、飲んだことも
食べたこともない奴が、なんだいなんだい人様に高い酒売りつけやがって、人
物の浅い口先だけのやすぼったい野郎だというので、上客がつきません。
そこで日頃から、一番だけを勉強するのです。まあ、設備投資です。
そこで、大店の旦那衆がお遊びになられた店を、古典落語から学び学習し出
かけて、人物を磨きます。
おいおい、坊主しゃも、いやいや、花屋敷の常盤家へ行こうか、横山町の尾
張屋に行こうか、亀清にしようか、それとも湊屋で牛にしようか、柳橋まで来たから柳光テか川長にか、代地の万里軒の西洋料理、いや、茅町の鹿の子か蔵前の宇治里、それともずうっと歩いて三吉町へ行って富士山か川升、いやいや駒形の泥鰌、材木町の万千、松田の鰻、万梅か一直の鍋か、小料理、並木の藪、金田のしゃも、八尾膳、小塚原重箱、尾彦の雀焼き、奥の植半か吾妻屋、八尾松
現在何軒残っているか、この辺りの日本の旦那好みの味を知ってから、下の漫遊記をお始めになる。良い店は良い。残っている店は何かがあ違う。ベースがしっかりしているから、選び出すのが早い。
そのうえで、贔屓の店が出来る。
この褌担ぎから、やがて幕入り、小結、関脇、となる。
この辺りまでの旦那衆になって初めて、贔屓筋へのご紹介がされるようになる。ヘンテコなのを紹介するとこちらが値踏みされる。
それが、食通の世界のご紹介文化でありました