大法螺釣行記 小雪舞う野々木鼻 こちらの顔もふぐ提灯
大法螺釣行記
小雪舞う野々木鼻 こちらの顔もふぐ提灯
ここで「北枕」を説明しておこう。
「北枕」(きたまくら)
1,枕を北にして寝ること。一般には不𠮷として忌む。
1,お釈迦様が涅槃の時、頭が北であったことにならい死人は北枕にする
まだこの世に生を受けて40年未満、この野郎縁起でもない。
いやいや、冷静に冷静に、釣り師心平穏に。
釣りの目的の一つに心を鍛えるというのも提言してきた。
そうです、心平穏に「朝勃丸」もとい「朝立丸」を投げ込む。
またしても雪の穴水湾の穏やかな海面にすっくと「朝立丸」が立った。
北枕が来ないように、手前に撒き餌を打つ。目視する事数十秒、ぴよぴよスーッと一尺半の遠矢浮きが波の中に吸い込まれていった。
南無八幡大菩薩、何妙法蓮華経、アッラよ、主よ 貧しき我に御恵みを
私はカウントダウン方式の1,2,3,それ~ から、神頼み方式に変更
グッ
やや手ごたえあり
「フイシュ・オン」
徳俵に足をかけてからの貴乃花ばりの二枚腰、いざ受けてたたん。
「ウム」
れれれれれェ、また泣き声が聞こえた、ふぐ提灯、ふくれっ面。
今度という今度は許さんぞ、磔獄門。カモメの餌にして呉れん。わたしは磯の岩に打ちつけた。しかし、カモメも知ってか食べに来ない。北枕を知っている。
ハーバド、東大から一ランク落として、身の丈変差血に戻して謙虚に
「裏口入学夜間二部」
おっと
すると、素直に小雪が舞う穴水湾の野々木鼻の磯に朝立丸がすっくと立ちあがった。
しかし、今度は撒き餌を打っても投げても、朝立丸はそよっともぴこんともしない。
小一時間、いや、小二時間、三時間 当たらない。
ネネさんはと見ればふぐ提灯が足元に十四、五匹。
さて、ここで我々の狙い目の魚は何か説明しよう。
寒の鯛より美味いというチヌ、黒鯛である。この時期のチヌは伊勢エビの味がするというまことに美味なる魚である。もちろん、寒の黒鯛は貴重なる高級魚である。食通中の食通のみが知る黒鯛様である。遠く平安の昔、畏くも皇室への献上魚でもあったのです。
それを狙っている我々も、見る角度によっては恐れ多くも畏き所に見えるやもしれぬ。そこで、ちらっとネネ君を見ると、その思いは正しくないと知った。
潮目が変わったのである。