トレニックワールド110KM in 彩の国 | (帰ってきた)ロンドンを走るオヤジのブログ!

(帰ってきた)ロンドンを走るオヤジのブログ!

ご縁あり4.5年ぶりにイギリスに戻ってきました。ランを中心に気が向くまま、当地での生活を綴ります。

先週、9月3~4日に埼玉越生町、飯能市などを舞台に開催された「トレニックワールド110KM in 彩の国」の出走報告をどうぞ。

 

9/3(土) 12:00、会場の「ニューサンピア埼玉越生」を、215名のランナーがスタートした。 

 

 

この大会のコースは、まず、越生町、ときがわ町、東秩父村の山々を走る「North Stage」(距離55.3KM、累積高低差3,155M)の後、飯能アルプスなどを巡る「South Stage」」(距離54.7KM、累積高低差3,025M)を走る設定だ。 両Stageの合計は、距離110KM、累積標高差は、6,429Mとなっている。 110KMと同日に、100マイルのレースも併催されており、こちらは朝9:00に既に52名のランナーがスタートしていた。

 

 

「100Mile、110KM in 彩の国」を、UTMB・CCCと比較すると、距離、累積標高差の類似点が良く分かる。もちろん、2500M級の山々を舞台にしたUTMB/CCCと、精々800M級の低山を走る「彩の国」を完全に同じ土俵で比べる事は出来ないが、制限時間や、奥武蔵の山々の地表面の走り辛さなどを加味すると、「彩の国」が、UTMB/CCCに負けず劣らずタフなトレイルレースであることが容易に想像出来る。

 

そして、当日のレースは、天候条件も相まって、想像した通り厳しいものとなった。 写真を中心に、当日の苛烈なレースを振り返ってみる。

 

「ニューサンピア埼玉越生」を出発したコースは、雨乞山~大築山を経て、最初のCP(エイド)のある「くぬぎむら体験交流館」に向かうが、スタート時の気温は30℃と高く、風も殆ど吹いておらず、暑さとの闘いとなった。 長丁場なので、体力を温存するため、抑え気味で進むが、大粒の汗が、額から滴り落ちる。 コース上に、湧き水があり、暫し立ち止まり、冷水を2杯携帯コップで飲み干した後、頭と顔に掛けて涼をとった。

 

   

 

途中、上谷(かみやつ)の山入(やまいり)集落にある大楠(クス)の横を通り抜けた。幹回りが、15M、高さ30Mもあるこの巨木は、樹齢1000年以上で、県の天然記念物に指定されているそうで、見応えがあった。

 

 

14:12分、スタートして2:11:52、第一CP「くぬぎむら体験交流館」(12.8KM地点)に到着(79位)した。

 

 

第二CPのある「堂平キャンプ場」(24.3KM)に、午後5時前(4:55:33)に到着(77位)。 北西方向に視線をやると、これから向かう大霧山、定峰峠など、東秩父の美しく、暮れなずむ山並みが眺望出来た。

 

 

旧定峰峠への登り口で、日没となり、ヘッドライトを点灯した。

 

 

第三CPの定峰峠(32.2KM)には、午後6時45分(6:45:26)に到着(81位)。 日没で気温が下がり暑さは和らいだが、この辺りから降り出してきた雨が、第四CP(飯盛峠:43.4KM)を通過(9:8:20、57位)する頃にはいよいよ勢いを増して本降り状態になった。加えて、雷雲も近づいており、遠雷を聞きながらこの区間を走った。 今思うと、雷はそれほど接近していなかったのかも知れないが、大昔に至近距離に落雷して肝を冷やした恐怖経験があり、それ以来極度の雷恐怖症になっている私にとっては、精神衛生的にとても宜しくない時間帯だった。

 

第四CPからNorth Stageゴール(ニューサンピア埼玉越生)までは、下り基調だが、雨の影響で、岩場や土の斜面が滑りやすくなっており、注意深く走っていたにも関わらず、何度も尻餅をついて大転倒してしまった。 二回目の転倒で、右手首を岩場の地面におかしな方向で打ち付けてしまい、激痛が走った。 一瞬ヒヤリとしたが、どうやら、骨は大丈夫の様で、乱れた息を整えて再びゴールを目指して走り出したが、この転倒で、心が折れた。

 

文字通り、七転八倒して、満身創痍になりながら、ゴールには午後11時過ぎ(11:05:34)に到着した。雷に追い立てられたせいか、第四CPから(全く意図せず)順位を上げ、最終的に45番目でNorth Stageを完走していた。  

 

天候条件、コースの状態、自分の体調を考えて、South Stageの続行を断念して、ゴール地点の係員の方に、リタイアを告げた。 残念な結果となったが、やむを得ない判断だったと思う。運営はエイドでのサポートを含めて、素晴らしかっただけに、この悪天候が恨めしい。

 

主催者発表では、110KMの部は、出走した215名のランナー中、完走者数は50名(100Mileの部は、完走者ゼロ!)だったそうで、23.26%という低い完走率が今回のレースの苛烈さを物語っている。 

 

レース報告は、以上で終わりだが、幻となった「South Stage」のコース上の様子を、試走時に撮影した写真で紹介しておこう。

 

--------------------------------

まずは、62/102KM地点の桂木観音(719年、行基菩薩創建)。

 

 

桂木観音下の展望台から、東方向を望む。

 

 

越生の里から、これからアタックする、奥武蔵の山々を見上げる。

 

 

四寸道(しすんみち)から、関八州見晴台(771M)への最後の登り口にある、巨石群。圧倒的な質量感は凄い。

 

 

関八州見晴台から、武甲山、子持山、大持山方面(西方向)を望む。

 

 

同じく、関八州見晴台から、これから向かう、吾野の里、大高山(493M)、天覚山(445.5M)方面(南方向)を眺望。 標高771Mから眺めると、大高山も天覚山も見下ろす形になり、両山が低く見える。

 

 

第七CP(70.6KM)のある高山不動尊は、654年創建の真言宗のお寺。

 

 

South Stageも、名もない滝や湧き水など、自然豊かで、水が絡んで癒される。

 

 

 

高山不動から西吾野の里に降りたら、高麗川支流を木の橋で渡るコース設定だが、台風の大雨による増水で、橋が損壊し、ご覧の状態になっていた。 仕方なく、シューズと靴下を抜いて素足で渡河した。

 

 

 

子の権現(640M)の手前に立つ地蔵さん。 どこか、表情と佇まいとが愛らしい。右は子の権現の本堂。

 

 

 

天台宗の寺院である子の権現天龍寺は、なんと「足腰守護の仏様」として有名な古刹である。 境内には、ジャンボ草鞋(と下駄)が祀られている。

 

 

子の権現を過ぎると、第八CPのある竹寺。 こちらも、857年創建の天台宗の古刹。 本堂への登り口にある鳥居には、「茅の輪」が設けられている。

 

 

 

竹寺の本尊は、「牛頭明王」(ごずみょうおう)。神仏習合の神様らしい。 その風貌は、典型的な仏像のイメージと違い、どこか猛々しさを感じる。 今年は、「高麗郡建郡1300年」。竹寺がある飯能や日高市には、昔の高句麗(朝鮮半島)からの渡来人が大勢移住したそうだが、もしかして、「牛頭明王」の由来とも関係しているかも。 人里離れた山奥にひっそり佇む古刹には、古のロマンを感じさせる何かがある。

 

 

 

竹寺の境内に咲いた曼珠沙華(彼岸花)。 

 

 

第一回「100Mile、110KM in 彩の国」は、先に報告の通り、悪天候下の開催となり、全体としても、私個人としても厳しく、残念な結果となったが、それはさておき、埼玉でこのような超長距離のトレイルレースが開催されたことは、素晴らしい事だ。 このレースを実現された主催者に感謝するとともに、是非、二回、三回と開催を重ね、更に素晴らしいウルトラ・トレイルの大会に成長することを切に願う。

 

(終わり)