江國香織トークショー in 名古屋 Part3☆ | 読書至上主義

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毎日1冊は本を買ってしまうワタクシの雑感です。

お待たせ致しました。江國さんトークショーの完結編です音譜

これは主人のメモですので、あしからず男の子


雪雪雪雪雪雪雪雪雪雪雪雪雪雪


江国さんは言う。「そう言えば、私も雪子ちゃんもバターが好き。お酒も、シャボン玉も好き」。

バターは小さな頃、ナイフでグザリと突き刺して、そのまま口に放り込んでいたほど好きだったそうだ。シャボン玉は外出先にも持っていくことがあるという。昔はいつも持っていたらしい。「きれいだし、おもしろい。旅先で飛ばしてみたくなる。例えば、パリの地下鉄でも、東京のビル街でも」。

旅の間、退屈しのぎにはボールをいつも持ち歩き、待ち時間に妹とキャッチボールをしたのだという。だから、旅の時にはいつでも荷物が多いそう。今日も荷物は多い、と江国さん。


雪は大人になってからも好きという江国さん。昔、調布に引っ越した直後のエピソードを披露。

あたりには年寄りの住んでいる家や空き家が多かった。東京に珍しく雪の降った翌朝、まだだれも踏みしめていない雪に妹と人型をつけていった。ジンジャークッキーにみたいに寝そべって、その型がついたところに足をおき、また次の人型をつけていく。そうして町内を一周した。25歳のときだったと笑う。


江国さんは酔っ払ったときに気の強い発言をする点も雪子ちゃんと似ているという。

「そんなことは分かっている」「じゃ、あなたはどういうつもりなの?」などなど。
また「うれしさは言葉にしたい、言葉にでちゃう」とも。何事も言葉で表現しないではいられないタチなのだそうだ。


子供のころの話。台風が来ると、雨戸もしめて、ろうそくも準備して、自分はしっかりと守られたところにいて、それでいて、ちょっと顔を濡らしてみようか、って外を見てたりしていたと笑う。
江国さんにとって「1人で生きている」っていうことが重要だったとも。小さい子が1人で暮らしているようなお話が好きだった。子供の時から「一人ぼっちだと思っていた」。みんな最終的には、愛する人も、愛してくれた人も、記憶の中だけになっていくと、江国さんは強調する。

「記憶の中にその人がいれば、人を強くする。生きていける」。


ほんとに雪子ちゃんはいるのだ。だってもう知り合いだもん。もう会ったもん。くまのプーさんなどのキャラクターには人をそう信じ込ませる不思議なパワーがあると思っている。それが江国さんのお話に対する想いだ。雪子ちゃんも山本容子さんの絵によって、読者の中で“もう、会ったもん感”が出るといいという。


雪子ちゃんに「寂しいって感じはしない」。感傷的になったほうが負け。この世を去るのにも哀しみがない。いずれ溶けるが、溶けちゃうまでの間、ここで遊ぶ--。いずれ溶けちゃうことすら、きっと楽しんで待っちゃう。それが雪子ちゃんだ、と江国さんは言う。


「トンボって、いっぱいいるけれど、彼らトンボは兄弟も親子も分からないけど、何の脈絡もなく、この世に突然一匹でポッコリ生まれてくる。実は兄弟かもしれないのに、トンボは空ですれ違ってもそれが分からない。魚もいっしょ。いきなり水の中に生命を与えられて放り出され、一体それからどうやって生きていくんだろう?」と江国さんは考える。
なるほど、そんなことを考えているから作家なんですね、と広松さん。
江国さんは「人間は感傷的になるけれど、でも、動物は感傷的ではないのよ」と結んだ。


最後まで江国ワールド全開の講演会でしたわんわん


雪雪雪雪雪雪雪雪雪雪雪雪雪雪


私がもしも男だったら、すぐに捨てられてもいいから、江國さんとちょっとお付き合いしたくて仕方がなくなる、と思いました。えへへにひひ

と同時に、こんな美しい純粋なモノを自分が汚してはいけない、変えてはいけない、影響を与えてはいけない、と遠くから随分遠慮して指をくわえて眺めるだけに終わってしまいそうでもあります。

そんな、なにものをも寄せ付けない高貴さがあって、江國さんのまわりにはバリア、というか、それこそ大きなしゃぼん玉が江國さんを覆っているように見えました。

そして、繊細でフラジャイルな印象があるのに、きっと芯が強くてワイヤーが一筋通っているかもしれない、とも感じました。

故・江國滋氏はどうやってこの娘さんを育てられたのか興味津々です。

そして、江國さんの銀行員のご主人は江國さん作品は一切読まないらしく、文学とか全然興味なさそうなので、あのご夫婦は純粋に男女として成立しているのだな、と感じました。

『いくつもの週末』を読むと、なんだかご主人はテレビゲームとかに集中し、夫婦の会話も多くはなさそうですが……。男として、女として、共通の趣味もなく惚れ合っているカップルっていうのに、どうも私は憧れます。いいな。私は“女”として愛されそうにもないキャラだからこそ、羨ましい感じです。


たぶん、今は江國さんの偉大さに誰も気がつかないけれど、100年後の日本ではひょっとしたらアンデルセン並みに語り継がれている作家なのかもしれない、と私は勝手に想像中ブーケ1キラキラ星