恵方巻とかいう関西習俗の
ごり押し季節大売り出しも終わったので・・
しかし、あの売れ残りの無残さは
何とかならんのか、と呟く陋巷の隠居(笑)
で、越後の助六寿司に入ってる太巻き
胡桃の甘じょっぱく煮たの巻いたのを
自販機の熱いほうじ茶でしみじみ喰らう。
何故此の寿司、太巻きとかんぴょう巻き
稲荷寿司のセットを助六と言うのかと言うと
巷説だが・・当時、江戸の町には
贅沢を禁止する倹約令が出されており、
江戸前の魚を使った握り寿司に代わって、
油揚げを使ったいなり寿司とのり巻きが
江戸の人々に親しまれたらしい。
やがて、このふたつを詰め合わせた
寿司折が登場し、油揚げの「揚げ」と
のり巻きの「巻き」から「揚巻」と
歌舞伎の贔屓筋から呼ばれるようになった。
幕間の弁当には向きだったんだろう・・
で、そのうちに・・歌舞伎、曽我ものの代表作である
「助六所縁江戸桜」の主人公、助六の愛人な
吉原の花魁の名前も同じく「揚巻」だった事から・・
寿司の=揚巻=も歌舞伎の助六の人気にあやかるようにと、
いつしか「助六」に改名されたのだそうな。
高級なネタは使わないがシンプルで
何処かほっこりするが小粋な江戸前・・
何となく此の組み合わせの寿司って
艶な風情さえ醸し出す気がするのよね。
濃厚な色香、高級な衣装、圧倒的な肉体
其れが高級な寿司ネタ、トロや雲丹、鯛、鮑とかなら
此の助六は黒紋付の辰巳芸者の立ち姿
小股の切れ上がった飽きの来ない旨さと言うか
此処に新潟の胡桃入り太巻きが入ると
田舎育ちだが江戸の水で洗われた
うぶ新造(芸妓の卵)が加わった風情になって
ますます好いのよねえ・・なんて・・
ま、幾分貧乏くせえのと田舎風味は粋に免じて目をつぶって(笑)
ある意味、全裸よりエロい感慨、何となく綴る冬の日。
壊れ隠居の妄想とご寛恕下さいや、ご一同。