ずっとブログタイトルを無視した内容が続くこと、乙女座日和。が終了しないことを、先ずはお詫び申し上げます。

   さて、此処で書かねば何処で書く、という話ですので、書かせていただく。

   大阪の天満に、私が通い続けるイタリアンバルがある。ふらりと立ち寄ってから実に7年である。ベヴィトーレというその店は、小さいながらも、どの料理もよく出来ていて、値段もお手頃である。夜の0時になると、店主もメニューも変わるのも特徴だ。オーナーであり、0時までの店主のY君とももう7年の付き合いで、彼の結婚式にも行ったし( 7年の間に離婚もした )、数少ない私の親友と言っていい。

   ベヴィトーレで私はいつも、仕事を忘れて、泣いたり笑ったり、酔っ払って絡まれたり絡んだり、椅子から落ちたり( しょっちゅうである 。もうY君は驚きも、心配もしない。)何度か皿洗いでアルバイトした事もある。此方に通っているうちに仲良くなった方が、私の働く店まで来てくださった事もある。

   Y君の特筆すべきは、その優しさである。決してぱっと見は愛想よくもなく、話しかけやすい雰囲気ではないし、媚びもしないので、初めて来たお客さんなどは、素っ気ない印象を持つだろう。私も初めて食べたキッシュとパテがあんなにも美味しくなかったら、二度目は無かったかもしれない。けれども、気心も知れて、私以外にお客さんのいない日などに、深刻な話で私が泣きじゃくっていた時である。Y君はやっと来たお客さんを「すみません、今日はもう終わりなんで。」と帰してしまった。勿論、私が泣きじゃくっていたせいだ。申し訳ないという気持ちと共に、大変嬉しかった。

   五年程前だろうか。私が浴衣をきっかけに和装に目覚め始めた頃である。浴衣イベントやりたい、と私が言い出した。ドレスコードを浴衣にして、もちろんY君も浴衣で、1日だけ和食のお店やってよ、と。いや、俺が客で来るから、お前やれよ、との話になった。じゃあその日だけは bevitireではなく、着物だし、平仮名でべべとーれにしようか、と一頻り盛り上がった。

   という五年越しの企画が来週実現する。おばんざい べべとーれ。女将は着物にベレーの私。日本酒は実家の丹波の方で、小鼓と辛丹波のひやおろしを仕入れてきた。お品書きもほぼ完成。お料理は、卯の花、和風生春巻き、秋刀魚のすだちマリネ、ゆかりご飯のおいなりさん、おでんなど。営業中に流すプレイリストもApple music で作成。布看板は、師範の腕前の妹にお願いした。

   何を隠そう、仕入れから料理、営業までを全部一人でやるという事も初めての挑戦で、不安ではあるが、わくわくしている。長い間休憩中だった私にやんわりと復帰の場、挑戦の場を与えてくれたY君には感謝しきれない。

   今、妹から看板用に買って来たという大きな朱色の布の画像が届いた。とてもいい感じだ。当日、日本酒用のグラスが足りないかもしれないと、隣の店が幾つか貸してくださるそうな。たった一人での挑戦ではあるが、沢山のひとのお陰で実現したものだという事を忘れないでおこう。