今更ながら金持ち父さん | 平凡なものを緻密に見れば、 非凡なものが見えてくる

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数年前、空前の大ブームとなったロバート・キヨサキの「金持ち父さん・貧乏父さん」

あれを読んで不動産投資を始めた人も多いようで、「ラットレースから抜け出せ!」
を合言葉に、こぞって不動産を買い漁った人もいたようだが・・・。

また、キャッシュフローゲームとやらも流行り、全国各地で未だに「キャッシュフロー
ゲーム会」と称するオフ会が頻繁に開催されているらしいが。


でも今思うと、なぜあの本がこれほどまでに日本で売れたんだろうか?

あの本は、明らかに米国式の不動産投資を勧めた本であり、米国とはそもそも前提が
異なる日本で実践するのは不可能な内容なのに。

リファイナンス(自分の所有している不動産の評価で銀行から借り入れして新たな物件を
購入する事 )が前提となっているあの手法で、日本で不動産投資を行うなど、非現実的
と言うより、不可能だ。

日本にはリファイナンスの制度なんてないんだから。

不動産が資産という考えがあるアメリカに対して、日本は不動産は負債。

「不動産=投資対象」で、DIYで不動産価値を上げることで経済成長していく国アメリカ。

不動産は最後のご褒美として買うものであり、「不動産=減価償却物」である国日本。

真逆の文化背景があるのに、何でこの本を日本で売ろうと思ったのだろうか。

いくら日本の出版(特にビジネス書)は翻訳文化で、欧米からの輸入品が多いと
言っても、知識のない人が読めば間違った方向にいくことは明らか。

事実、この投資法を実践して悲惨な目に合った人も少なからずいるらしいし。

出版社側も恐らくそれは分かっていたはず。

ただ売れるなら何でもいいというスタンスだったんだろうか。


ロバート・キヨサキが、実は「金持ち父さんは作り話だ」ということを既に明らかにして
いることは恐らくかなり知られている。

そして、一連の金持ち父さんシリーズ本は、キャッシュフローゲームを売るための
フロントエンドだと言うことも明らかにしている。

つまり、全ては綿密に組まれた販売戦略の一環であり、「役に立つ本を書いたらたまたま
売れた」わけではなく、「売るために売れる本を書いた」ということである。

ここで、それを実際にいとも容易くやってのけたロバキヨのビジネスセンスには恐れ入る。

彼のマーケティングやセールスの能力は相当に高いのも間違いないと思う。

彼は著書の中で、雇用されて働く労働者の生き方をラットレースと揶揄していたが、
実際はそーゆー労働者がいてこその経済であることは明白。

堅実に働くことを美徳とする文化の日本でそんな彼らを一笑に付すような内容、そして
日本では明らかに実践不可能な不動産投資を勧めている本。

それを日本で売ろうと考えたのはロバキヨなのか、それとも出版社(筑摩書房)なのか。


ロバキヨだとしたら、それはもう見事な販売戦略だったと言うしかないが、もし出版社
だったとしたら、やや悪質だと思ってしまう。

ロバキヨの本は、アメリカでは下層の人、つまりあまり教育水準の高くない人たちにのみ
売れており、上層の人、つまり教育水準の高い知識人には見向きもされない本らしい。

つまり、そもそもが知識レベルの低い(蔑んでの表現ではない)人たち向けに書かれた
ものだと言える。

そのような本を日本に輸入し、しかも前提があまりにも異なる日本で、アメリカ式の
不動産投資を勧める本を広めた出版社には、少なからず責任があると思う。

もちろん、最終的には読む側の責任であり、仮に内容を真に受けて実践した結果、
とんでもないことになっても、本人の責任ではある。

ただ、そもそも日本人のことを考えるのであれば、このような本は出版しない方が
良かったんじゃないか。

ただでさえ、表面的なものに右往左往する人が多い大衆文化である日本で、このような
本を発売すれば、売れるのは売れるんだろうけど、その分あとでいろいろと大変なこと
になるのは明らかだったはず。

日本人の教育を考えるのなら、もっと日本人にふさわしい本を広めるべきだったと。

まぁ全ては結果論なので、今更言っても仕方ないけど。


ひとつ言えるのは、日本人はもっと自分の情報リテラシーを上げる必要があるということ。

でないと、結局損するのは自分自身なんだから。