私を放っておいて貴方は先へ進むのだから
振り向いては駄目よ
もし振り向いたのなら
このナイフで刺してしまうわよ
涙が似合う あの娘はとても綺麗だった
そしてそれを拭う貴方はもっと綺麗で
私は泣いた
貴方が拭ってくれる事の無い
何て醜い涙
一日に ほんの一秒なのだけど
貴方を憎んでしまう
私を放っておいて生きている 貴方
だけど先へ進むのなら
私を思い出しては駄目よ
もし思い出したのなら
どんな手を使ってでも
貴方を引き止めてしまうわ
私には似合わない 真っ白な季節よ
貴方とあの娘が体温を分け合って
幸せに過ごすの
今年私の町に雪が降らないのは
二人が溶かしてしまったから
それならそれで構わないから
せめて雨を降らしてよ
いま私の醜い涙を隠すものは
何も無い
手を振ったの
鈴のような音を立てて
さようならと告げた
貴方はその電車に乗って行ってしまうのだから
もう戻って来ては駄目よ
もう戻って来ては駄目よ
此処に居るなら息を殺せ。
嗚呼、いま冷えゆく空気はとても鮮やかに
私の心を蝕んだ。


