TODAY'S   デートの近道は「何分短いか」だけで選ばない

デートの道選びでは、「近い方を選ぶ」が、そのまま気遣いになるとは限りません。

 

8分で着く道と12分かかる道があれば、8分の方を選びたくなります。

 

相手を長く歩かせずに済みますし、少しでも早く着ける方が親切に見えるからです。

 

では、その8分の道に、信号待ち、階段、地下道、混雑が続いていたらどうでしょう。

 

 

短い道でも、移動が何度も途切れることがある  

歩く時間は短くても、止まる、また歩き出す、上る、下る、人を避ける。こうした動きは増えていきます。

 

たとえば、駅から店まで8分の道には信号がいくつかあり、途中で階段を上って地下道へ入り、人の多い場所を抜ける。

 

一方、12分の道は少し遠回りでも平坦で、止まる回数が少ない。

 

地図だけを見れば、「4分も短いなら8分の方でいい」と考えるのは自然です。

 

ところが、実際に二人で歩く場面まで入れると、同じ8分でも中身はかなり違います。

 

信号で会話が途切れ、青になったらまた歩き始める。

 

階段では足元を見て、地下へ下りたら進む方向を確かめ、人の多い場所では人を避けながら進む。

 

ひとつひとつは小さな動きです。

 

ただ、それが続くと、移動は何度も分断されます。

 

ずっと同じペースで歩ける道なら、「歩く」という一つの動作をそのまま続けられます。

 

でも、信号で止まり、階段を上り、地下へ下り、人を避けて進路を変える道では、そのたびに身体と注意を切り替えなければなりません。

 

 

ここで初めて、移動の負担は「何分歩いたか」だけでは決まらないことが見えてきます。

 

「進む」という動作を途中で何回止め、もう一度始めることになったかでも変わるのです。

道を選ぶ側と、歩く側では見えているものが違う  

では、なぜこの負担は、道を選ぶときに見落とされやすいのでしょうか。

 

道を選ぶ側と、実際に歩く側で見ているものが違うからです。

 

道を選ぶ本人が見ているのは、「8分で着く」「4分短い」という経路全体の数字です。

 

だから、「12分歩かせるより8分で着く方が楽だろう」と考えます。

 

一方、実際に歩く相手が受け取るのは、「8分」という一つの数字ではありません。

 

赤信号で止まり、階段を上り、地下へ下り、人をよけ、また歩き出す。

 

相手が経験するのは、その一つひとつの動作の連続です。

 

本人の中では「4分短くした」という気遣いでも、相手側には、早く着くために何度も動きを切り替えたという負担が残ることがあります。

 

本人が相手の負担を軽く見ようとしたわけではありません。

 

最初から距離と時間しか比較していなければ、途中で増える動作が判断に入りにくいだけです。

 

そして初期のデートでは、この認識のズレが、その場で修正されにくくなります。

 

まだ相手の体力や状態を十分に分かっていないうえに、相手も「この道、けっこう疲れる」と言いやすい関係とは限らないからです。

 

相手が何も言わなかったことと、その道が楽だったことは同じではありません。

 

 

だとすれば、相手から言われてから考えるのではなく、道を選ぶ時点で見るものを増やす必要があります。

変えるのは「近道」ではなく、「楽」の判断基準  

ここで変えるのは、「近道を選ぶかどうか」ではありません。

 

何を基準に「楽な道」と決めるかです。

比べるべきなのは、8分と12分という数字だけではありません。

4分を短くする代わりに、相手に何回止まる、上る、下る、進路を考えるという仕事を増やすのかまで比べます。

8分の道で信号に何度も止まり、階段を上り下りするなら、その8分はずっと歩き続ける8分ではありません。

 

12分でも平坦で止まる回数が少ない道なら、二人の動きはむしろ途切れにくくなります。

 

つまり、時間を比べるのをやめる必要はありません。

 

所要時間に加えて、信号や階段、地下道、混雑などで二人の動きが何回途切れるかも比べればいいのです。

 

この見方に変わると、「近道」の意味も変わります。

 

地図上で一番短い道が、二人にとって実質的に一番楽な道とは限りません。

 

到着時間だけを縮めるのではなく、二人の移動を細切れにしない道も、デートでは十分に近道になり得ます。

次のデートでは、時間差と「途切れる回数」を一緒に見る  

次に二つのルートを見比べるときは、「何分違うか」だけで終わらせない。

 

「短い方を選ぶと、信号・階段・地下道・混雑で何回動きが止まりそうか」も一緒に見てみてください。

 

候補の道が数分差なら、短い方を選ぶことで、止まる、上る、下る、避ける、方向を確認する動きが何度も増えないかを比べます。

 

その差が大きいなら、少し長くても、動きが途切れにくい方を選ぶ余地があります。

 

最初から相手の体力を全部分かっている必要はありません。

 

経路に信号や階段が多いか、平坦で止まる回数が少ないかは、道を選ぶ段階でも確認できます。

 

 

「相手を長く歩かせない」だけでなく、「相手に余計な移動仕事を増やさない」まで見る。

 

この基準を持つと、道の選び方は変わります。

 

デートの近道は、時計上の最短経路だけではありません。

数分差なら、信号や階段が少なく、二人の動きを細切れにしない方を選ぶ。

それが、実際の楽さまで含めて道を選ぶときの一つの基準になります。