後ろ姿だけは、どうやっても自分で見られません。
鏡を二枚使う方法はあります。
ただ、あれをやると結局は振り返ることになります。振り返れば、肩の位置も背中の丸みも変わります。
つまり、後ろ姿は「見る」ことができません。
記録するしかない部位です。
そして、記録すると分かることがあります。
洗ったのに消えないシワがある
シャツを洗って、アイロンをかけたとします。
ハンガーにかかっている状態では、背中は平らです。
それを着て、後ろから撮ってみてください。
背中に、シワが出ていることがあります。
- 肩甲骨の間に、横向きに寄っている。
- 脇の下から斜めに引っ張られている。
- 腰のあたりで生地が余って溜まっている。
- 襟の下だけ、布が持ち上がっている。
洗濯直後なので、これは洗い方の問題ではありません。
布は、体の形に合わせて余ります。
背中が丸ければ、外側は伸び、内側は余る。その余った分が、シワとして出ます。
言い換えると、背中のシワは体が作っています。
これが厄介なのは、アイロンをかけても取れないことです。
着るたびに、同じ場所に同じシワが出ます。
そして、前側のシワとは意味が違います。
腹まわりが張って出るシワは、鏡で見えます。気づけます。
背中のシワは、一度も見たことがないまま、毎日出続けています。
清潔なシャツを着ているのに、なぜかくたびれて見える。
その原因が、ここにあることがあります。
後ろには、顔がない
正面から見られているとき、相手の情報の多くは顔にあります。
表情が動く。目が合う。話している。
そのぶん、服のシワや姿勢の情報は、相対的に薄まります。
後ろ姿には、それがありません。
顔がない以上、相手が受け取っているのは姿勢と服だけです。
薄めるものがないので、そのまま届きます。
後ろ姿にだけ生活感が出るように感じるのは、後ろが特別ひどいからではありません。
情報が二つしかないからです。
撮るときの手順
誰かに頼めるなら、それが早いです。
頼めないなら、スマホを立てかけてタイマーで撮ります。
このとき、二つだけ守ってください。
ひとつは、腕を下ろすこと。
後ろ姿の写真で、腕を体の横に自然に垂らした状態を撮れる機会は、意外とありません。人に撮ってもらうと、たいてい何かのポーズになっています。
タイマーなら、ただ立っているだけの姿が残ります。
もうひとつは、撮ったあとすぐに見ないことです。
撮った直後は、姿勢を作った記憶が残っています。その状態で見ると、無意識に補正して見てしまいます。
少し時間を置いてから見ると、他人の写真に近い感覚で見られます。
見る場所は三つでいい
撮った写真で、全身をなんとなく眺めても答えは出ません。
見る場所を決めておいたほうがいいです。
- 背中のシワが、どこに出ているか。
- 襟と首の間に、隙間があるか詰まっているか。
- 腰から下で、生地が溜まっていないか。
このうち、シワと襟は姿勢が作っています。
腰まわりは、服のサイズと体型の両方が出ます。
どれが原因かは、一枚では分かりません。
ただ、別のシャツで撮っても同じ場所にシワが出るなら、それは服ではないということです。
今日は、洗いたての一枚で
やることは、ひとつだけで構いません。
洗ってあるシャツを着て、後ろ姿を一枚撮る。
洗いたてであることが大事です。
それでもシワが出るなら、洗濯では解決しない種類のシワだと分かります。
撮る角度も、光も、今回は気にしなくていいです。
背中に何が出ているかを一度見るだけで、目的は足ります。
後ろ姿は、自分では一生見られない場所です。
その一生見ていない場所を、会うたびに相手は見ています。
別れ際に振り返らずに歩いていくとき、相手の視界にあるのは、そのシワです。