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数楽と音学と音楽

音楽ブログのつもりが数学に侵食されてしまいました・・・。

暖かい陽気に誘われ、歩いている時に鼻歌を無意識に歌っていました。
その曲がこちら。

無性に吹きたい衝動に駆られて、独奏で投稿。
見切り発車もいいとこです。
伴奏つけている時間はありませんでした。
来年以降また吹く機会があれば、伴奏つけます。




Qui suis-je?


"Euler calculait sans aucun effort apparent,
 comme les hommes respirent, comme les aigles se soutiennent dans les airs."


わたしは誰?


彼の人は何でもない体で自然に計算をした
まるで人が息するように、鷲が空に留まるように



彼の名はレオンハルト・オイラー。
数学史において彼の影響はあまりに大きい、大きすぎる存在。
天才という言葉ですら表しきれない功績。
彼の書いた論文は現在でも、まとめきれていない。

オイラーもモチーフにしたキャラクター、老倉 育(おいくら そだち)。
彼女のテーマ曲。
この話の内容もちょっとだけ数学が出てきます。


音楽の偏食はここ数ヶ月ずっと続いていて、作業中はひたすらリピートで聞いています。
今週はこの曲を流しています。

ちょっと古い妖しくかっこいいメロディ。
彼女の特性をよく表現しています。

タイトルのリドル。
riddle 「なぞなぞ」という意味です。
ほりば(horiver)は私。
つまり、私からのなぞなぞ。
冒頭のフランス語が、そのなぞなぞでした。


3月21日に某テレビ局で放送された内容の感想を。
毎回各業界の第一線に立つ人達の密着ドキュメンタリー。
今回は音楽関係でした。

自身は作曲屋と言っていましたが、作曲家の佐藤直紀氏。
アニメからドラマ、映画、映像に関わる音楽をつくりだす劇伴と呼ばれる仕事をしているそうです。
例えば、福山雅治が主演の大河ドラマ、龍馬伝のメインテーマとか氏が作曲しています。
作曲数は3000曲を超えているそうです。
映像に沿った音楽を毎回苦心して作り出しているそうです。
3000曲以上をつくりだすとなると、持っている引き出しはとっくに出し尽くしているでしょうね。
どれを出したかなんて覚えていないでしょう。

彼を見ていて思ったことは、ひたすらもがき続けて、あがき続けて答え(映像を引き立たせる音楽)を探す姿勢が凄いと思いました。音楽って数学や物理と違って絶対的な答えはないんですよね。
フルートの師匠曰く、「理論は後付けの方が多いから、理論に拘りすぎるな」を思い出しました。

音楽って人に披露するまでって、本当に泥臭い作業が多いなあと思います。
ひたすらロングトーンとか、運指の訓練、何度も同じフレーズでつまずいてもひたすら練習し続けないといけません。練習で完璧になっても、本番で100%実力を出せるかというとそうでもない。
ちょっとした精神的なことで、全く出来なくなることもある。
少し練習やめるだけで、明らかに腕が落ちるし。
嗚呼、音楽ってなんて不確かな表現方法なんだろう。

音は出した瞬間消えてしまう。
それをひたすら音を繋げていく。

今だってグレード試験で悩んでいるし、もがいているし・・・。

音楽で生活している訳じゃあないのに、なんでこんなに取り組んでいるんだろう。

結論はわかっていて、「音楽が好きだから」
それだけ。

そんことをぐるぐる巡らせながら見ていました。

今はただ、ひたすら頑張るしかないのですが。

佐藤氏のようなレベルには程遠いけれど、人に影響を与える音楽をしたいです。

マスカーニ「の」苦悩ではありません。
彼も悩み、私も悩んでいるのです。
レベルは月とすっぴんの違いです。(意味なしジョーク

さて、ヤマハフルートグレード試験6級への道。
自由曲の背景を知ろう4回目です。
今回の企画はこれで最後になります。
4曲クラシック、1曲ジャズなので。

今回の曲は、カヴァレリア・ルスティカーナより間奏曲です。

作曲はピエトロ・マスカーニ(1863-1945)
イタリア出身です。

彼は優れたオペラ作曲家なのですが、一発屋とみられることが多いです。
その理由は、処女作であるカヴァレリア・ルスティカーナがあまりにも素晴らしいため、それ以降の作品が霞んでしまいました。このことは後々彼自身を苦しめることになります。

曲のタイトルである、カヴァレリア・ルスティカーナ(Cavalleria rusticana)。
意味は「田舎の騎士道」ですが、いまいちピンときませんねえ。
ドン・キホーテ的なものを想像してしまいます。
曲についての解説を調べていると、しっくりくる意訳がありました。
「ご当地の慣わし」
あー、なるほど。これならわかるなあ。

オペラの間奏曲ではあるのですが、一応曲自体の説明も簡単にしておきます。
ぶっちゃけ、「不倫の結果、元彼が決闘で死んでしまう」という
お昼のどろどろ恋愛ドラマという内容です。しかも、実話らしい。
いつの時代も、国境を越えてもこの手の話はあるものなんですねえ。


もうちょい真面目に解説

登場人物

サントゥッツァ(♀):
物語の主役。旦那(トゥリッドゥ)が元彼女(ローラ)と不倫していることに嫉妬し、ローラの旦那であるアルフィオに不倫のことを教える。


トゥリッドゥ(♂):
元々はローラと愛し合っていたが、戦争へ出兵するため別れてしまう。兵役中にローラが結婚してしまったため、恋愛を諦める。後にサントゥッツァと結婚する。しかし、ローラに誘惑に負けて不倫関係となる。ローラの旦那にばれ決闘を挑まれ命を落とす。一応、不倫はいけないこととわかっていて自責の念にかられていた模様。


ローラ(♀):
全ての元凶。勝手に結婚したくせに、トゥリゥドゥの幸せの新婚生活に嫉妬し、誘惑する。密かに不倫をするけでもなく、むしろサントゥッツァを煽るという見事な悪女っぷり。お陰で現旦那のアルフィオにちくられ、決闘で愛する人を亡くすという自業自得にも程がある。


アルフィオ(♂):
現ローラの旦那。嫉妬で狂ったサントゥッツァに不倫のことを聞き、怒りと憎しみに燃えトゥリッドゥに決闘を申し込み殺してしまう。ある意味被害者。


名曲で知られる美しい間奏曲は、このアルフィオが不倫を知り絶望し怒り狂う。
そして、トゥリッドゥに決闘を挑む場面の間で流れます。

このアルフィオの絶望を表現したのが、あの間奏曲なのでしょうか?
(カヴァレリア・ルスティカーナ全編聞きながら、この記事書いています)

(つまり、この記事、書くのに1時間以上かかっている・・・)

・・・背景知ったら、どうやって間奏曲を吹けばいいのかわからくなってきた。
女性には理解できる背景なのでしょうか・・・?
しかし、作曲者のマスカーニは男だし・・・うーん。
当時のイタリアでは日常茶飯事だったのでしょうか・・・。


気を取り直して、楽譜のことについて考えましょう。
譜面自体は簡単です。吹くだけなら。
テンポも遅いし、難しい運指もあまりありません。
しかし、この曲は難しい。
綺麗に吹くことを要求されます。
もの凄すごく美しい旋律を奏でる力量を問われます。
完全に基礎能力が高いことを要求されます。
ちょっとやそっとの練習では美しく吹くことが出来ません。

(ここまで書いて、動画も間奏曲に入りました)

さてさて、曲の背景うんぬんは別として私はこの曲が嫌いになりました。
理由はこれです。

IMG_20160321_230556351.jpg



曲の最後の部分です。
ただの、ppとpppじゃんと思われるかもしれませんが、
笛吹きならこの意味がわかると思います。
上級者は、この意味を理解しているし、これを表現する実力もあります。
初級者は、この意味がわからないので、あんまり悩みません。
しかし、中級者はこの意味がわかっているけど、表現できないという絶望状態におかれます。


・・・はい、単に私の能力不足が原因であり、曲はなにも悪くありません。

フルートって音量の幅が他の楽器と比べ狭いので、fffとかpppはとても苦手です。
そういうふうに聞こえるようにする技術は当然あるのですが、これは一朝一夕で出来るものでありません。
しかも、高音域でこれですからね。音程が安定しないし、息もそれなりにいれないと失速して音が外れます。でも息を入れすぎるとpppにはなりません。
とても悩ましいのです。

2年前に選曲した自分を呪いたい。
曲を知っているという理由で選んだ自分を呪いたい。

もうやるしかありませんけどね。
それにしても、何故こんな内容で、あんな美しい旋律で、ここまで人気なのかわからくなってきました。

もう、マスカーニの人生について書く気力がなくなってしまいました。
一応一言でいえば、カヴァレリアがあまりに人気だったため、いつどこへ行ってもカヴァレリアばかりリクエストされて、うんざりしていたみたいです。


記事を書いていて、ここまで後味が悪いのは初めてです。