2025年10月1日付の読売新聞オンラインが、

『生成AIの動画を投稿可能、SNSアプリ提供開始…オープンAIがアメリカとカナダで』

と題した記事を報じていました。

以下に、この記事を引用し、“生成AI動画ができるSNSアプリ”の効果的な活用と懸念点について予測し、考察しました。

 

《記事の引用》

対話型AI(人工知能)サービス「チャットGPT」を手がける米オープンAIは、2025年9月30日、生成AIで作成した動画を投稿できるSNSアプリ「ソラ」の提供を米国とカナダで開始したと発表した。日本など他国にも順次拡大するという。

 

利用は招待制で、友人などから招待してもらう必要がある。

料金は当面無料。オープンAIが本格的にSNSアプリを提供するのは初めてとみられる。

中国発の動画共有アプリ「TikTok(てぃっくとっく)」などとの競争が激しくなりそうだ。

 

ソラはオープンAIの動画生成AI「ソラ2」を搭載し、文字で動画のイメージを入力すると、音声付きの高精細な動画を数秒で作成できる。

自分の画像を用いて、自分自身が登場する動画を作成することもできる。米メディアによれば、作成できる動画の長さは当面10秒まで。

 

著作権の侵害や暴力など、不適切な内容を含む動画は作成することができない。

動画には、いつ、誰が作成したかといった出所を証明する電子情報が組み込まれるほか、いじめなどに悪用されないよう、保護者が未成年の利用を制限する機能も盛り込む。

自分自身が登場する動画が同意なく利用されることがないよう、常に利用者自身が動画を管理できる仕組みも導入する。

(引用、ここまで)

 

《筆者の考察》

オープンAIが米加で始めた生成AI動画対応のSNSアプリ「ソラ」は、テキストから音声付きの高精細動画を即座に生成できる点で、SNSの在り方を大きく変える可能性を秘めています。

誰でも自身を登場させた動画を手軽に作成できるため、広告や自己表現の手段が飛躍的に広がり、企業のプロモーションから個人の創作活動まで裾野は広がるでしょう。

例えば、これまで多額の制作費を要したCMやPR動画が低コストで作成可能となり、情報発信の民主化が進むと考えられます。

 

一方で懸念は山積しています。

第一に著作権問題です。

日本のアニメやゲームキャラは容易に模倣できるのに、米国IPは保護されているとの指摘は、コンテンツ産業に不公平感をもたらし、国際的摩擦を生む恐れがあります。

第二にフェイク動画の拡散リスクです。

現実と区別がつかない映像が氾濫すれば、虚偽情報や詐欺に悪用され、社会的混乱を招きかねません。

生成物には作成情報が組み込まれるとはいえ、利用者が意図的に編集すれば追跡が難しくなる可能性があります。

 

また、クリエーターへの影響も深刻です。

AIが高度な表現を容易に再現できることで、努力して技能を磨くデザイナーや映像作家の存在意義が揺らぎます。

これにより「AI疲れ」や「均質な大量コンテンツへの飽き」が生じ、人々が本物の人間による創作を求める揺り戻しも起きるでしょう。

最終的には、作品の質ではなく「誰が作ったか」というブランドや信頼が差別化の鍵となる時代に移行していくと見られます。

 

さらに、AI活用による制作体制の変化も不可避です。企業は社内で広告や動画を完結できるため外注需要は減り、フリーランスや中小制作会社は淘汰圧力に晒されるでしょう。

同時に、権利関係が曖昧になることで訴訟リスクも増加します。法制度の整備、特にコンテンツの保護やAI生成物の表示義務を国際的に統一する仕組みが急務です。

 

結論として、「ソラ」の登場はデジタルコンテンツの裾野を広げる革新であると同時に、社会に新たな混乱を招く二面性を持ちます。

今後の鍵は、
1)透明なルール作り
2)利用者教育
3)権利保護の徹底
4)人間ならではのブランド価値の再構築
にあります。
AI動画の時代は不可逆ですが、規制と倫理、そして人間性の発揮によって、その恩恵を健全に享受できるかどうかが試されるのです。
 

 

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