2026年11月2日付の「AERA DIGITAL」が、

『「内定しても2年間は入社しなくてOK」…異例の「インターバル採用」を考案した化粧品会社社長の”目的“』

と題した見出し記事を報じていました。

 

以下に、この記事を要約し、新卒採用は、“内定から2年間は入社しなくてもよい”という採用戦略の狙いと期待される効果およびデメリットについて、考察しました。

 

《記事の要約》

<新卒内定から最大2年間、入社を延期可能に 化粧品「SHIRO」が異例の採用制度>

化粧品ブランド「SHIRO」を展開するシロが、2028年卒業予定の学生を対象とする新卒採用から、入社時期を卒業後最大2年間、自由に選べる「インターバル採用」を導入する。

大学卒業後の4月に一斉入社する従来の仕組みを見直し、留学や資格取得、趣味などに挑戦する時間を確保できるようにする。

 

制度を考案した福永敬弘社長は、入社までの期間は何をして過ごしても構わないと説明する。

海外留学やアルバイトに取り組むだけでなく、休養に充てることも認める。

会社は連絡先を把握するものの、活動内容を尋ねることはせず、その間に別の進路を見つけた場合は内定辞退も可能だという。

 

導入の最大の狙いは、入社後の離職を減らすことだ。福永社長によると、退職者の中には「留学したかった」「資格試験に挑戦したかった」など、就職前に実現できなかった希望を理由に挙げる人が少なくなかった。

やりたいことを経験してから入社することで、後悔やストレスを減らし、長く働いてもらうことを期待している。

 

一方、入社時期が分散すれば、採用人数の見通しや人員配置、研修、事務手続きの調整が難しくなる。

シロは例年約30人の新卒者を採用しているが、2027年度は100人の採用を予定し、制度導入後の人員不足に備える方針だ。

 

また、入社時期が異なることで、同期社員同士の結び付きが弱まる懸念もある。

同社は入社年度が同じ社員を同期と位置付け、合同研修や交流の機会を設ける考えだ。

 

福永社長は、制度が期待どおりの成果を上げなくても5年間は継続する意向を示している。

学生の自由な挑戦と企業の人材確保を両立できるか、新たな採用の形として注目される。

(要約、ここまで)

 

《筆者の考察》

<入社を2年待つ会社の狙い――「自由な時間」は離職を減らせるか>

化粧品ブランド「SHIRO」を展開するシロが、内定後、大学卒業から最大2年間は入社しなくてもよい「インターバル採用」を導入する。

新卒者は4月に一斉入社するという日本企業の慣習に、一石を投じる取り組みだ。

 

背景にあるのは、若手社員の早期離職である。

厚生労働省によると、2023年3月に大学を卒業して就職した人の31.2%が、3年以内に離職している。

シロの福永社長は、退職者から「海外留学をしたかった」「資格取得に挑戦したかった」といった声を聞き、就職前に希望を実現できる時間を設けることを考えた。

 

この制度の狙いは、単なる福利厚生ではない。

入社前の未練を減らし、自ら選んで入社する意識を高めることで、社員の定着率を改善する人材戦略である。

 

期待される効果は三つある。

 

1)早期離職の抑制
留学や趣味、資格取得などを経験し、納得して入社すれば、仕事に集中しやすくなる可能性がある。

 

2)採用競争力の向上
学生の価値観や人生設計を尊重する企業として注目され、従来の一括採用では出会えなかった人材を獲得できるかもしれない。

 

3)人材の多様化
海外経験や異なる文化に触れた人材が集まれば、商品開発や販売、海外展開にも新しい発想が生まれる可能性がある。

 

一方、デメリットも無視できない。

 

最大の課題は、人員計画の不確実性だ。

入社時期が分散し、内定辞退も認められるため、採用人数と実際の入社人数が一致しない。

研修や配属の個別対応も増え、人事部門の負担が重くなる。

 

さらに、入社が遅れた社員と先に入社した社員との間に経験や処遇の差が生じる可能性がある。同期の一体感が薄れないよう、入社後の教育や交流にも工夫が必要だ。

 

また、退職理由として語られる「やりたかったこと」が、本当の離職原因とは限らない。

職場の人間関係、給与、評価制度、仕事との適性などが原因なら、入社前に2年間の自由を与えても解決しない。

 

重要なのは、制度の効果を客観的に検証することだ。

利用率、内定辞退率、入社後3年間の離職率、社員満足度、採用・教育コストなどを継続的に測定し、制度利用者と非利用者を比較する。

ただし、利用者の価値観や能力の違いも考慮しなければ、制度そのものの効果は判断できない。

 

さらに、入社後にも留学や資格取得、育児などのために休職できる仕組みを整えれば、社員の長期的な定着につながるだろう。

 

ISO思考でいえば、今回の試みは人材確保という経営課題に対し、新しい仕組みを導入し、その有効性を検証・改善する取り組みである。

 

採用の成功は、何人内定を出したかではなく、入社した社員が能力を発揮し、長く働きたいと思える会社をつくれたかで決まる。
 

 

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