<電力発電, 送電及び配電業における環境パフォーマンスとは>

電力発電、送電及び配電業における環境パフォーマンスとは、発電所で電力をつくり、送電線、変電所、配電設備を通じて需要家へ供給する一連の活動について、環境への影響を管理し、その改善成果を測定、評価することである。

ISO14001では、環境パフォーマンスは環境側面のマネジメントに関連する測定可能な結果として捉えられる。

 

この業種では、発電方式によって環境側面が大きく異なる。

火力発電では燃料使用、CO2や大気汚染物質の排出、水使用、排水、燃焼残さなどが重要となる。

水力、太陽光、風力などでは発電時の直接的なCO2排出は比較的小さい一方、土地利用、生態系、景観、騒音などへの配慮が必要になる。

また、送配電では送電損失、変電設備の絶縁媒体、設備建設に伴う土地利用などが環境側面となり得る。

このため、発電だけでなく送電、配電まで含めて評価することが重要である。

 

《環境パフォーマンスの具体例》

1)温室効果ガス排出量の削減

火力発電などでは、発電電力量当たりのCO2排出量、燃料使用量、発電効率などが代表的な指標となる。

 

2)大気環境への負荷低減

燃焼設備では、設備や燃料の種類に応じて、窒素酸化物、硫黄酸化物、ばいじんなどの排出状況を管理することが重要である。

 

3)水資源及び排水管理

発電設備では冷却水や設備洗浄水などを使用する場合があり、発電電力量当たりの水使用量、排水量、排水水質などが指標となる。

 

4)廃棄物及び資源循環

発電所や送配電設備では、燃焼灰、廃油、金属くず、撤去した電線や設備部品などが発生する場合がある。

廃棄物発生量、再資源化率、最終処分量などが環境パフォーマンスとなる。

 

5)送配電損失の低減

発電した電力の一部は送電、変電、配電の過程で失われるため、送配電損失率の改善は間接的に資源及びエネルギー消費の低減につながる。

 

6)生物多様性や周辺環境への影響

発電所、ダム、送電線などでは、土地利用、生態系、騒音、景観などへの影響を考慮する必要がある。

 

《環境パフォーマンスの取組み方》

1)温室効果ガス

温室効果ガスについては、設備の高効率化、運転条件の最適化、省エネルギー活動を進めるとともに、事業条件に応じて再生可能エネルギーなど低炭素な電源の活用を進める。

単純なCO2総排出量だけでなく、発電電力量当たりの排出原単位を併用すると、発電量の変化を考慮した評価が可能となる。

 

2)大気汚染対策

大気汚染対策では、適切な燃焼管理とともに、必要に応じて脱硫、脱硝、集じんなどの設備を適切に運用、維持する。排出濃度を継続的に監視し、法的要求事項や自主基準との適合を確認する。

 

3)水管理

水管理では、冷却水などの効率的な利用、可能な範囲での循環利用を進めるとともに、排水処理設備を適切に維持し、水質を監視する。

廃棄物については、金属、廃油、燃焼灰などを性状別に管理し、技術的、法的に可能なものについて再使用や再資源化を進める。

 

4)送配電

送配電では、高効率変圧器の導入、適切な設備更新、送配電設備の保守によって損失低減を図る。

また、設備から油類や絶縁媒体などが漏えいする可能性を評価し、点検、漏えい防止設備、緊急時対応訓練を実施することも重要である。

 

5)発電所や送電設備の新設・更新

発電所や送電設備の新設、更新時には、生態系や地域環境への影響を事前に把握し、立地、工法、設備仕様などの段階から環境負荷の回避、低減を検討する。

 

<結論>

電力発電、送電及び配電業における環境パフォーマンスは、単なる「発電所のCO2削減」に限定されない。

発電効率、大気排出、水使用、廃棄物、送配電損失、化学物質、生物多様性などを含め、電力をつくって需要家へ届けるまでのライフサイクル的な視点で評価することが重要である。

 

特にこの業種では、「安定した電力供給」と「環境負荷低減」の両立が重要となる。

ISO14001に基づき、CO2排出原単位、発電効率、水使用原単位、廃棄物再資源化率、送配電損失率、環境事故件数などを継続的に監視し、改善につなげることが有効である。

さらに、気候変動への緩和だけでなく、豪雨、台風、高温などが電力設備や安定供給に及ぼす影響への適応も考慮することで、環境パフォーマンスと事業継続性を一体的に高めることができる。

(※ 自分を変える“気づき”ロジカル・シンキングのススメ メルマガ1031号より)
 

 

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