<輸送装置の修理およびメンテナンス業における環境パフォーマンスとは>

輸送装置の修理およびメンテナンス業における環境パフォーマンスとは、鉄道車両、特殊車両、搬送用車両、その他の輸送装置などについて、点検、分解、洗浄、修理、部品交換、塗装、組立、試運転などを行う際の環境影響を把握し、その改善成果を測定、評価することである。

ISO14001では、環境パフォーマンスは環境側面のマネジメントに関連する測定可能な結果として捉えられる。

 

この業種では、輸送装置を適切に修理、整備して長期間使用できる状態に維持すること自体が、資源消費や廃棄物発生の抑制につながる。

一方、修理工程では電力、燃料、水、潤滑油、作動油、洗浄剤、塗料などを使用し、廃油、金属くず、廃タイヤ、廃電子部品などが発生する。

このため、「修理工程で発生する環境負荷」と「修理によって製品寿命を延ばす環境上の効果」の双方から評価することが重要である。

 

《環境パフォーマンスの具体例》

1)輸送装置の長寿命化と資源の有効利用

修理による再使用台数、再使用部品率、交換部品削減量、修理後の使用期間などを指標とすることで、資源循環への貢献を評価できる。

 

2)エネルギー使用量及び温室効果ガス排出量の削減

修理工場では、工作機械、溶接機、コンプレッサー、塗装設備、試験装置、空調設備などを使用する。

このため、修理1件当たりの電力使用量、燃料使用量、CO2排出量などが指標となる。

 

3)油類及び化学物質の適正管理

潤滑油、作動油、洗浄剤、塗料などについて、使用量、廃油発生量、VOC排出量、漏えい件数などを管理することが考えられる。

 

4)廃棄物の削減と再資源化

金属部品、タイヤ、樹脂部品、電子部品、廃油、使用済みフィルターなどについて、廃棄物発生量、再資源化率、最終処分量などが指標となる。

 

5)水使用量及び排水負荷の低減

車体や部品の洗浄では水を使用するため、洗浄水使用量、排水量、排水中の油分などを把握することが重要である。

 

6)輸送装置の性能維持

輸送装置の整備不良を防ぎ、本来の性能を維持することも重要である。

適切な整備によって機械的損失や異常な燃料消費を防ぐことは、使用段階の環境負荷低減にも関係する。

 

《環境パフォーマンスの取組み方》

1)資源の有効利用

故障した装置を一律に交換するのではなく、安全性、品質及び技術基準を満たすことを前提として、修理可能な部品の補修、再加工、再使用を進める。

修理履歴を蓄積して故障原因を分析し、再故障率を低減することも製品寿命の延長につながる。

 

2)エネルギー管理

高効率設備への更新、コンプレッサーの空気漏れ防止、設備の待機電力削減、LED照明の導入などを行う。

また、単純な総電力使用量だけでなく、修理件数や作業時間当たりのエネルギー原単位を管理すると、改善効果をより適切に評価できる。

 

3)油類や化学物質の管理

必要量を適正に使用し、可能な場合は環境負荷の低い洗浄剤や塗料への代替を検討する。

保管場所には漏えい防止措置を講じ、流出時に備えて吸着材などを準備し、緊急時対応訓練を行う。

 

4)廃棄物管理

鉄、アルミニウム、銅などを分別して再資源化する。

廃油、電子部品、使用済みフィルターなどは、それぞれの性状や関係法令に応じて適正に保管、処理する。

洗浄工程では、洗浄方法の改善や循環利用などによって水使用量を削減し、油分などを含む排水を適切に処理することも必要である。

 

<結論>

輸送装置の修理およびメンテナンス業の環境パフォーマンスでは、電力、燃料、水、油類、化学物質、廃棄物などの「修理する際の環境負荷」を削減すると同時に、「修理することによって輸送装置を長く使用する」という本業そのものの環境価値を評価することが重要である。

 

特に、単なる「廃棄物量の削減」だけでなく、再使用部品率、修理後の使用期間、再故障率などを環境指標に加えることで、この業種の特徴を反映した環境マネジメントとなる。

ただし、環境負荷削減のために必要な整備や部品交換を省略してはならない。

安全性、品質、法的要求事項を確実に満たした上で環境負荷を低減することが大前提である。

 

ISO14001を活用して、修理技術、品質、安全性と環境パフォーマンスを一体的に改善することが、輸送装置の長寿命化、資源循環、廃棄物削減、さらには持続可能な輸送社会への貢献につながる。

(※ 自分を変える“気づき”ロジカル・シンキングのススメ メルマガ1029号より)
 

 

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