2026年10月12日付の集英社オンラインが、

『売上高1兆円へ、アシックスはなぜ復活したのか 苦戦するナイキと明暗を分けた「売り方」と「技術」の戦略』

と題した見出し記事を報じていました。

 

以下に、この記事を要約し、アシックスとナイキの明暗の要因と今後の展開を予想してみました。

 

《記事の要約》

<アシックス復活、ナイキ苦戦 明暗を分けた商品開発と販売戦略>

スポーツ用品大手のアシックスが好調だ。売上高1兆円の大台が視野に入る一方、世界的ブランドのナイキは販売不振からの立て直しを急ぐ。

両社の明暗を分けたのは、商品開発と販売戦略の違いだった。

 

アシックスは2026年1~6月、日常向けスニーカーを展開する「スポーツスタイル」が前年同期比83%増収、ファッションブランド「オニツカタイガー」も36%増収となった。

高い機能性とデザイン性が評価され、欧米や訪日外国人の需要を取り込んでいる。

 

競技用ランニングシューズでも、北米の専門店との関係を強化。足形や走り方に合った商品を接客で提案する販売方法が支持を広げた。

 

一方、ナイキは自社店舗や電子商取引(EC)による直販を重視し、卸売先との関係を縮小。

その結果、小売店との競合や新興ブランドの台頭に直面した。

2025年5月期の売上高は前期比約10%減少した。

 

アシックスも2018年12月期には203億円の最終赤字を計上した。

しかし、商品カテゴリーごとに開発から販売まで責任を持つ経営体制を導入し、部門間の連携を強化した。

 

さらに、ナイキの厚底シューズに対抗するため、2019年に部門横断型の「C-PROJECT」を発足。

競技者の声を反映した「METASPEED」シリーズを開発し、ランニング市場で巻き返した。

 

こうした改革により、アシックスの営業利益率は2018年の2.7%から2025年には17.6%へ上昇した。

 

今後はスポーツシューズの技術を応用したビジネス・ウォーキングシューズにも注力し、海外市場の開拓を進める。

ナイキも販売網と商品構成の再構築に着手しており、両社の競争は新たな局面を迎えている。

(要約、ここまで)

 

《筆者の考察》

<アシックス復活、ナイキ失速――勝敗を分けた「顧客起点」の経営改革>

かつて世界のランニング市場を席巻したナイキが苦戦し、日本のアシックスが躍進している。

両社の明暗を分けたのは、単なる製品性能やブランド力の差ではない。

顧客の声を商品開発と販売戦略にどう反映したかという、経営の仕組みの違いである。

 

アシックスの強みは、競技者の足に合う靴を作る技術力だ。

足形、走り方、競技レベルに応じた製品開発を進め、専門店では試着や接客を通じて、その価値を伝えてきた。

価格だけでは比較できない「履き心地」という付加価値を提供している。

 

一方、ナイキはブランド力とデジタル技術を武器に、直営店や自社ECへの販売集中を進めた。中間流通を減らせば利益率を高められるという考え方だ。

しかし、卸売店との関係が弱まり、消費者が実際に商品を試し、専門的な助言を受ける機会も十分に生かせなくなった。

ホカやオンなどの競合ブランドが、その隙間で存在感を高めた。

 

もっとも、ナイキの技術開発力を軽視してはならない。

厚底シューズ「ヴェイパーフライ」は長距離走の常識を変え、アシックス自身も対応を迫られた。

 

注目すべきは、その後のアシックスの行動だ。

2019年に研究、開発、生産、マーケティングなどの専門人材を集めた「C-PROJECT」を発足。

部門間の壁を取り払い、競技者の声を短期間で製品化する体制を整えた。

そこから生まれた「METASPEED」シリーズは、競技用シューズ市場での復権を象徴している。

 

さらに、カテゴリー別の一貫した経営責任を明確にし、「作る側」と「売る側」の責任の押し付け合いを解消した。

ISO思考でいえば、部門最適から全体最適への転換である。

 

今後、アシックスは三つの成長機会を持つ。

第一は高機能ランニングシューズの世界展開。

第二はオニツカタイガーなどファッション市場の拡大。

第三は、スポーツ技術を応用したウォーキングシューズや作業用シューズなど、日常生活への展開だ。

 

ただし、急成長にはリスクもある。流行に左右されるスニーカー市場、為替変動、過剰在庫、ブランド価値を損なう安易な値引きには注意が必要だ。

 

ナイキも反撃を始めている。

卸売店との関係修復、競技用製品の強化、組織改革を進めており、世界的なブランド力は健在だ。

2026年8月期の四半期決算では減収が続く一方、粗利益率には改善も見られた。

今後数年で巻き返す可能性は十分にある。

 

両社の将来を分けるのは、広告宣伝費の大きさではなく、顧客が求める価値を継続的に生み出せるかどうかだ。

 

優れた製品を作るだけでは勝てない。

その価値を顧客に届け、顧客の声を次の製品に生かす仕組みこそ、企業の競争力なのである。
 

 

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