2026年10月6日付のTBS NEWS DIGが、

『来月の「ちばアクアラインマラソン2026」開催見合わせ 台風25号の影響で内房線運休続く 県は今後1か月で延期か中止を判断』

と題した見出し記事を報じていました。

 

筆者は、「ちばアクアラインマラソン」に2回参加したことがあります。

スタート地点までの標準的なアクセスは、「JR木更津駅にJRで移動し徒歩で木更津市役所に向かう」です。

そして、往路は、参加者は、ほぼ下り列車を利用するので、「姉ヶ崎-長浦」間が不通で、復旧まで約3ヶ月掛かるということは、姉ヶ崎から木更津駅までのピストンバスを出さない限り、ほとんどの参加者は、現地にたどり着けません。

 

この大会は、「開催が2年に1回」なので、延期して開催してほしい、と個人的には思いますが、現実的には、参加者が1万人を超える大会なので、代行バスの手配などを含め、大会運営の変更は、難しく、中止になる公算が高いと思います。

 

以下に、この記事を要約し、開催見合わせの是非とその影響、開催するとした場合のウルトラC(画期的な対策)はあるか、などについて、考察しました。

 

《記事の要約》

千葉県は10月6日、11月8日に予定していた「ちばアクアラインマラソン2026」の開催を見合わせると発表した。

台風25号でJR内房線が被災し、大会当日に必要な交通手段を確保することが困難と判断した。

今後、関係機関と協議し、1か月程度をめどに「延期して開催」するか「中止」とするかを決定する。

 

大会では、フルマラソン、ハーフマラソン、車いすハーフマラソンの3種目が行われる予定で、計1万7887人が参加を予定していた。

 

県によると、ランナーやボランティアなど大会関係者の約6割が、JR内房線を利用して木更津市や袖ケ浦市の会場へ向かうと見込まれている。

 

しかし、内房線は台風25号による大雨で線路内への土砂流入などの被害が発生。姉ケ崎―長浦間では運転を見合わせており、復旧には少なくとも3か月程度かかる見込みとなっている。

現在はバスによる代行輸送が行われているが、輸送力は鉄道に比べ大幅に少ない。

県は大会当日の代替輸送について関係機関と協議し、大量のバスを手配する案も検討した。

しかし、必要な台数を確保することが極めて難しく、確保できたとしても1万人を超えるランナーや関係者を円滑に輸送できない恐れがあるとして、予定通りの開催を断念した。

 

参加費などの取り扱いについては、延期か中止かを決定した段階で改めて発表する。

 

大会当日は東京湾アクアラインを含む大規模な交通規制も予定されていた。鉄道輸送が大きく制約される中、安全な大会運営と地域住民の交通をどう両立するかが、今後の開催判断の焦点となる。

(要約、ここまで)

 

《筆者の考察》

ちばアクアラインマラソン2026の開催見合わせは、残念だが妥当な判断だろう。

問題はコースではなく、約1万8000人のランナーを含む大会関係者を、限られた時間内に安全に木更津・袖ケ浦へ運べないことである。

 

県によれば、ランナーやボランティア等の約6割がJR内房線を利用する想定だった。

一方、被災した姉ケ崎―長浦間の代行バスは鉄道の1~2割程度の輸送力しかない。

一般利用者の生活交通を圧迫してまで大会参加者を運ぶことはできない。

 

しかも大会当日は東京湾アクアラインを午前8時30分から午後1時30分まで通行止めにする予定だった。

鉄道が弱っている日に、もう一つの主要交通ルートまで閉じるという矛盾が生じる。

予定通りの開催は現実的ではない。

 

では、延期しかないのか。

 

一つの「ウルトラC」は、大会を通常開催から「災害対応型大会」に再設計することだ。

例えば参加人数を半分程度に縮小し、希望者には次回大会への優先出走権を与える。

残るランナーは東京、横浜、千葉など複数地点から大会専用バスで輸送する。

さらにスタート時刻を複数に分けるウェーブ方式を拡大し、到着時間を分散する。

宿泊を伴う参加者には木更津・君津・袖ケ浦周辺への前泊を促し、地域の観光復興にもつなげる。

 

さらに大胆なのは「アクアラインだけマラソン」への変更である。

フルマラソンにこだわらず参加人数を大幅に絞り、アクアラインを象徴的に走る短距離イベントとして開催する。

実際、大会要項には強風などで橋梁部を走れない場合、一般道だけを走る短縮マラソンへ変更する仕組みが既に用意されている。

ならば災害時にも「通常開催か中止か」だけでなく、代替大会という第三の選択肢をあらかじめ設計しておく発想があってよい。

 

ただし、開催すること自体を目的にしてはいけない。

バスを大量投入すれば地域住民の通勤・通学や復旧活動に必要な輸送力を奪う可能性がある。

警察、消防、自治体職員、バス事業者など、災害復旧に必要な人的資源を大会へ振り向けることにも慎重であるべきだ。

 

したがって延期や縮小開催は、「鉄道輸送力」「地域交通への影響」「警察・消防等の確保」「アクアライン規制の影響」「医療救護体制」という五つの条件をクリアした場合に限るべきだろう。

 

ISO思考でいえば、今回の教訓はBCPに近い。

大会運営にも「通常開催→縮小開催→代替大会→延期→中止」という複数の継続レベルを事前に準備しておく。

 

災害時に問われるのは、予定通り開催する力ではない。

目的を残しながら、やり方を大胆に変えられる力である。
 

 

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