ご承知の通り、ISO 14001:2026は、2026年4月15日に正式発行されました。(※JIS Q 14001:2026は、2026年8月20日に発行)

2026年版の発行に伴い、既存のISO14001登録組織においては、旧規格(2015年版)からの移行期間はISOの発行から3年間(2029年4月30日まで)となります。

 

以下に、「規格の主な改訂のポイント」、「登録組織の主な対応」、「認証機関の審査のポイント」について、概略的に解説しました。

 

<ISO 14001:2026で何が変わったのか - 改訂のポイントと企業・審査への影響>

ISO 14001は2026年4月15日に、第4版となる「ISO 14001:2026」として発行された。

今回の改訂は、大量の新要求事項を追加する大改訂というより、2015年版の考え方を維持しながら、要求事項の意図を明確にし、附属書Aのガイダンスを充実させたことが大きな特徴である。

 

<主な改訂ポイント>

第一のポイントは、環境マネジメントを経営や事業活動と、より強く結び付けたことである。

改訂では、戦略、事業プロセス、リスクと機会、ライフサイクル、サプライチェーン、外部への環境情報開示などが重視されている。

水、気候変動、廃棄物、サーキュラーエコノミーなど、今日的な環境課題も意識されている。

 

特に注目したいのが「組織の状況」である。

2024年の気候変動追補を踏まえつつ、環境状態として考える対象を気候変動だけに限定せず、汚染レベル、天然資源の利用可能性、生物多様性、生態系の健全性など、組織に関係する幅広い環境課題を捉える方向が明確になった。

 

また、「リスク及び機会」についても、環境側面や順守義務だけでなく、外部の環境状態、事業上の変化、顧客など利害関係者の期待を含めて考えることが強調された。

何に優先的に取り組むかは、組織の能力などを踏まえて決定する考え方である。

 

<登録組織の主な対応>

登録組織がまず行うべきことは、「規格が変わったから文書を直す」という発想ではなく、現在のEMSが改訂規格の意図を満たしているかを点検することである。

 

例えば、4.1、4.2の分析では、気候変動だけでなく、生物多様性、資源、水などの環境状態が自社の事業にどのような影響を与えるかを再確認する。

その結果を、環境側面、順守義務、リスク及び機会、環境目標へ一貫して展開できているかが重要となる。

 

さらに、原材料調達から製造、物流、使用、廃棄までのライフサイクルの視点や、供給者などサプライチェーンとの関係も改めて確認したい。

環境情報の外部開示についても、行政への法定報告だけでなく、投資家、顧客、取引先、消費者への情報提供などを整理することが望まれる

 

<認証機関の審査のポイント>

審査で重要なのは、規程や様式が新版に書き換えられたかだけを確認することではない。

例えば「気候変動を考慮しました」で終わらず、その組織の事業特性から見て、資源制約、生物多様性、水、異常気象、サプライチェーンなどを含む関連する環境状態が適切に特定され、それがリスク及び機会、著しい環境側面、目標、運用管理へつながっているかを審査トレイルとして確認することが重要になる。

 

また、外部コミュニケーション、ライフサイクルの視点、外部提供プロセスなどについても、単なる手順の有無ではなく、実際の事業プロセスで機能しているかを見る必要がある。

内部監査については、改訂により「監査プログラム」を文書化した情報として利用可能な状態にすることが明確化されている点にも注意したい。

 

ISO 14001:2026の本質は、要求事項を増やして企業の負担を増すことではない。

むしろ、環境課題を経営課題として捉え、EMSを事業の意思決定や持続的な価値創造につなげることにある。

登録組織にも認証機関にも、「規格の変更点探し」だけではなく、「要求事項の意図をどのように実務へ落とし込むか」という視点が、これまで以上に求められる改訂といえる。

(※ 自分を変える“気づき”ロジカル・シンキングのススメ メルマガ1027号より)
 

 

【好評発売中!】

『サービス業のISO(設計・環境側面・危険源・気候変動)』(令和出版)2025年4月30日発売
『~マーケット・クライアントの信頼を高めるマネジメントシステム~ サービス業のISO (設計・環境側面・危険源・気候変動の実践ガイド)』 著:有賀正彦 - 令和出版

『できるビジネスマンのマネジメント本』(玄武書房)

https://www.amazon.co.jp/dp/4909566066/

 

【よかったらメルマガ読者登録お願いします♪】↓

(パソコンでアクセスしている方)

http://www.mag2.com/m/0000218071.html

(携帯でアクセスしている方)

http://mobile.mag2.com/mm/0000218071.html

Twitter:https://twitter.com/ariga9001