2026年9月24日付の毎日新聞が、

『ニシキゴイや金魚10万匹全滅か 養魚場が浸水 印旛沼堤防決壊』

と題した見出し記事を報じていました。

 

他の記事では、印旛沼の堤防決壊により、水没した太陽光パネルから火災が発生したニュースや農作物や果物、農業用機械の被害、大雨による土砂崩れで亡くなった女性からは擁壁設置の要望がされていたなどの報道もあります。

 

以下にこの記事を要約し、「暴れ沼」と言われた印旛沼の治水の歴史と堤防決壊の原因と対策、決壊に伴う水没被害など地域住民に必要な救済と地域経済への影響について、考察しました。

 

《記事の要約》

台風25号による北印旛沼の堤防決壊で、周辺の養殖業が甚大な被害を受けている。

千葉県によると、2026年9月22日の豪雨で成田市船形干拓の堤防が約100メートルにわたり決壊し、周辺で大規模な浸水が発生した。

 

印旛沼近くにある印旛沼漁業協同組合の養鰻場では、一時2メートル近くまで浸水。

県内で捕獲した稚魚から育てていたウナギ約5万匹が流された。

井戸水をくみ上げるモーターや、水温を約28度に保つ設備も水没した。

泥水が入り込んだことで、生き残ったウナギについても厳しい状況という。

 

同漁協は約180人の漁業関係者で構成され、地元産ウナギにこだわり、隣接する直営レストランで提供してきた。

小川佳男組合長は、流されたウナギがどこかで生き延びてほしいと願う。

 

成田市の谷養魚場も浸水し、ニシキゴイや金魚など約10万匹が流された。

ビニールハウスや釣り堀など広い敷地が水没し、家族はボートで救助された。

損害額は約10億円に上るとみられている。

9月24日になっても水は引かず、多くの魚が全滅した可能性がある。

 

印旛沼周辺は古くから洪水に悩まされ、江戸時代から放水路開削などの治水が繰り返し試みられてきた。

戦後には干拓と洪水対策を進め、1969年に現在につながる印旛沼開発事業が完成した。

 

県は国に緊急復旧を要請。

国のTEC-FORCEも派遣され、堤防の早期復旧を進めている。

地域産業の再建を含めた長期的な支援が課題となる。

(要約、ここまで)

 

印旛沼に流入する高崎川(佐倉市表町付近)

 

《筆者の考察》

印旛沼周辺は、昔から洪水との闘いを続けてきた。

水資源機構によれば、かつて周辺の農地では「3年に1回」とされるほど水害に苦しめられた。

江戸時代には1724年、1783年、1843年と、沼の水を東京湾側へ逃がす放水路建設が試みられたが、難工事や財政事情などで完成しなかった。

 

本格的に姿が変わったのは戦後である。

1946年から干拓事業が始まり、1963年には水資源開発公団が事業を引き継いだ。

大和田排水機場などを整備し、1969年に印旛沼開発事業が完成。

洪水対策とともに農業・工業用水を供給する現在の仕組みが形成された。

 

それだけに今回の約100メートルに及ぶ堤防決壊は重い。

ただし、現段階で「想定を超えた雨量が直接原因だった」、「堤防が老朽化していた」などと断定することはできない。

越水したのか、浸透によって堤体内部が弱くなったのか、洗掘や構造上の問題があったのか。今後、降雨、水位、堤防構造、決壊箇所の地盤などを総合的に検証する必要がある。

 

対策も単純な堤防の復旧で終わらせてはいけない。

被災箇所の強化に加え、排水機場、樋門・水門、非常用電源、監視設備を含めて治水システム全体を再点検する。

さらに、想定を超える水位になった場合でも被害を局限できるよう、二線堤や遊水機能、重要設備のかさ上げなど、多重防護を検討すべきだろう。

 

同時に急がれるのが被災者と事業者の救済だ。

千葉県では台風25号に伴い多数の市町村に災害救助法が適用された。

住宅だけでなく、ウナギ、ニシキゴイ、農作物、機械設備など、生産手段そのものを失った事業者への資金繰り、設備復旧、廃棄物処理、休業中の生活支援が必要になる。

 

谷養魚場のような施設は、単なる一企業ではない。

観光客を呼び、地域で消費を生み、印旛沼の文化やブランドを支えてきた存在でもある。

一社の廃業が取引先、雇用、飲食、観光へ波及すれば、災害被害は地域経済全体へ広がる。

 

ISO思考で重要なのは、堤防を「元に戻して終わり」にしないことである。

なぜ決壊したかを検証し、想定を更新し、再発防止と事業継続を一体で考える。

300年近く続く「暴れ沼」との闘いは、気候変動時代に合わせた次の治水へ転換する時期を迎えている。

(※ 自分を変える“気づき”ロジカル・シンキングのススメ メルマガ1030号より)
 

 

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