2026年9月25日付の神戸新聞が、

『姫路独協大、徳洲会に経営権譲渡へ 定員割れによる経営難で 新体制は28年春予定、学部と学生引き継ぐ』

と題した見出し記事を報じていました。

 

姫路獨協大学は、私が学生だった1987年に開学し、開学当初は、外国語学部と法学部がメインの大学だった気がします。

記事を見て、経営権の譲渡先が徳洲会だったので、「なぜ、徳洲会なんだろう?!」と思って調べると、現在は、外国語、法学、経済は縮小統合され、医療保健学部や看護学部といった医療系が主体の大学に変わっていました。

 

以下に、この記事を要約し、姫路獨協大学の今後と他の地方大学への影響について考察しました。

 

《記事の要約》

姫路獨協大学を運営する学校法人獨協学園は9月25日、学校法人徳洲会との間で、同大学の経営権譲渡に向けた「設置者変更に関する契約」を締結したと発表した。

2028年4月の新体制移行を目指し、現在の学部や在学生は原則として引き継ぐ。

 

姫路獨協大は1987年、姫路市が設立資金50億円と土地を提供する全国初の「公私協力方式」で開学した。

当初は外国語、法学など文系分野を中心にスタートしたが、その後、社会や学生のニーズに対応して学部を再編。現在は医療保健学部、看護学部、人間社会学群などを置く。

 

しかし、学生数は1996年度をピークに減少し、2005年度から定員割れが続いた。2026年度は定員1640人に対し在学生627人で、充足率は38.2%まで低下。

慢性的な赤字が続き、薬学部も2024年度を最後に学生募集を停止している。

獨協学園は2021年に大学の公立化を姫路市へ要望したが、市は困難との結論を出していた。

 

譲渡先となる徳洲会は、全国で病院などを展開する徳洲会グループの傘下で、2020年から湘南鎌倉医療大学を運営している。

両法人は今回の設置者変更について、姫路獨協大が培ってきた教育を継承しながら、特に医療系分野をさらに充実させるとしている。

 

徳洲会側は2027年1月に文部科学省へ設置者変更を申請する予定。

大学名については今後検討し、募集停止中の薬学部についても再開に向け文科省と相談するとしている。

経営主体の交代が大学再生につながるのか、地方私大の今後を占う事例として注目される。

(要約、ここまで)

 

《筆者の考察》

姫路獨協大学の徳洲会への経営権譲渡は、地方私大の将来を考える上で象徴的な出来事である。

1987年、姫路市が50億円と土地を提供して誕生した大学が、約40年後、医療グループを背景とする学校法人へ運営を託すことになった。

 

最大の理由は、やはり学生確保の難しさだ。

2026年度の在学生は定員1640人に対して627人、充足率38.2%。

これでは授業料収入を中心とする従来型の大学経営を維持することは容易ではない。

 

ただし、これは姫路獨協大だけの問題ではない。

文科省資料では、2025年度に入学定員を満たさなかった私立大学は594校中316校、53.2%だった。

2025年度はいったん改善したものの、2027年度以降は18歳人口が再び減少し、特に2035年度以降は減少が加速すると見込まれている。

さらに文科省は、2040年の大学入学者数を約51万人と推計している。

 

その意味で、徳洲会への譲渡には一つの可能性がある。

現在の姫路獨協大には看護、理学療法、作業療法、言語聴覚療法、臨床工学などの医療系教育がある。

医療現場を持つグループとの連携が深まれば、臨床実習、教育、研究、就職を一本の線で結び、「この大学で学ぶ理由」を明確にできる可能性がある。

 

一方、注意すべきなのは「医療系にすれば生き残れる」という単純な発想だ。

18歳人口そのものが減る以上、成長分野へ学部を付け替えるだけでは、大学同士で限られた学生を奪い合うことになる。

大学には、地域医療、地元企業、自治体などと結び付き、その地域でなければ提供できない教育価値をつくることが必要だ。

 

姫路市にとっても重要な転換点である。

設立当時は文系大学の誘致自体に大きな意味があった。

しかし40年後の現在、問われるのは大学が「存在すること」ではなく、若者を地域に呼び込み、専門職を育成し、卒業後も地域社会を支える循環を生み出せるかである。

 

今後、地方私大では経営譲渡、統合、学部縮小、他大学との連携が増えていくだろう。文科省も地域の高等教育について、大学それぞれの強みを生かした連携・統合を求めている。

 

ISO思考で考えれば、守るべきものは「大学という組織の形」ではなく、教育という目的と社会に提供する価値である。

定員を埋めることを目標にする大学から、「この地域に、この大学が必要だ」と選ばれる大学へ。

姫路獨協大の再生が成功するかどうかは、地方私大再編の一つの試金石となる。

 

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