2026年9月23日付のテレ朝ニュースが、

『土砂崩れ多発…大雨“長時間”で被害拡大か 台風から一夜経っても水が引かない原因は』

と題した見出し記事を報じていました。

 

テレビの報道番組で、映し出される高崎川の氾濫による冠水した佐倉市のエリアは、筆者のジョギングコースのひとつ。

ジョギングの際に通過する高崎川の橋から見た水位は、とてもあふれ出すレベルになく、報道で水か引かない様子を見て驚いています。

 

以下に、この記事を要約し、水か引かない要因と国や県、自治体に求められるハード対策、ソフト対策について、考察しました。

 

《記事の要約》

関東地方に長時間の大雨をもたらした台風25号の影響で、千葉、神奈川両県では河川の氾濫や土砂崩れが相次ぎ、死者・行方不明者が出るなど甚大な被害となった。

千葉県佐倉市では、高崎川が氾濫し、JR佐倉駅北側の住宅や飲食店、病院などがある市街地が広範囲に冠水。

水位が大人の腰ほどに達した場所もあり、消防などがボートで孤立した住民の救助に当たった。

 

浸水は短時間で進み、住宅では床上まで水が入り、畳が浮く被害も発生。

40年以上営業する飲食店では冷蔵庫や冷凍庫などが水没し、営業再開の見通しが立たない状態となった。

 

雨が弱まった後も水が引かない背景には、地域特有の排水構造がある。高崎川は印旛沼へ流れ込むが、印旛沼は大雨時、ポンプを使って利根川や東京湾へ水を排出している。

水資源機構によると、印旛機場は最大毎秒92立方メートル、大和田機場は最大毎秒120立方メートルを排水できるが、流域に大量の雨が降れば排水に時間を要する。

 

一方、君津市や市原市では大量の土砂が道路や建物に流入。高齢者施設が孤立するなど、生活への影響が続いている。

神奈川県でも多数の土砂災害が発生した。

 

今回の大雨では、台風の速度低下などに加え、沿岸部で暖かい空気と内陸の冷たい空気がぶつかる「沿岸前線」が形成され、雨が長時間続いたとみられている。

復旧を急ぐとともに、従来の想定を超える豪雨を前提とした治水対策の再検証が求められる。

(要約、ここまで)

 

《筆者の考察》

雨がやんでも佐倉市の水がなかなか引かない。最大のポイントは、降った雨を最終的に「どこへ逃がすか」である。

 

高崎川の水は印旛沼へ流れ込む。

ところが印旛沼は、大雨時には自然に水を流し出すだけでは足りず、印旛機場から利根川へ、さらに必要に応じて大和田機場から花見川を通じ東京湾へポンプ排水する仕組みになっている。

つまり高崎川だけ水位を下げたくても、その先の印旛沼の水位が高ければ排水は進みにくい。

 

実際、水資源機構の記録では、2026年8月13~17日の大雨時、印旛・大和田両機場から合計6500万立方メートル以上を排水している。

それでも大量の降雨が流域全体から集中すれば、流入量が排水能力を上回る局面が生じる。

 

だから対策を「もっと大きなポンプを設置する」だけで考えてはいけない。

 

ハード対策では、排水機場の能力・耐水性・非常用電源の強化に加え、河川改修、遊水地や調整池、雨水貯留施設の整備が必要だ。

学校、公園、公共施設、民間施設にも雨水を一時的にため、短時間に河川へ流れ込む水量を減らす。住宅では電気設備や非常用電源を上階へ配置するなど「浸水しても機能を失わない」設計も重要になる。

 

同時にソフト対策が欠かせない。

ハザードマップを配布するだけでなく、浸水深や避難経路を住民自身が確認し、要支援者の避難を誰が手伝うのかまで決める。

河川、下水道、気象情報を組み合わせ、「いつ避難するか」を地区単位で具体化する必要がある。

 

土地利用も避けて通れない。

国土交通省が進める「流域治水」は、堤防やダムだけでなく、雨水貯留、土地利用規制などを組み合わせ、流域全体で被害を減らす考え方だ。

高リスク地域への新たな住宅・重要施設の立地をどう抑制・誘導するかも、中長期的な課題となる。

 

さらに重要なのは、治水の「想定値」を固定しないことだ。

国は気候変動を踏まえ、2040年頃には降雨量約1.1倍、洪水流量1.2倍、洪水発生頻度2倍という想定を流域治水プロジェクトに反映している。

 

ISO思考でいえば、今回の災害を「想定外の豪雨だった」で終わらせず、リスク評価の前提を更新することだ。

水を速く流すだけの治水から、「ためる・流す・逃げる・浸水しても耐える」を重ねる多重防護へ。 国、県、市町村、企業、住民が役割を分担する流域全体の防災への転換が求められている。
 

 

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