2026年9月20日付の時事通信社が、

『65歳以上、3624万人 総人口の3割占める 総務省』

と題した記事を報じていました。

 

以下に、この記事を要約し、65歳以上の就労者が増加することについて、多くの組織や日本社会における影響と政府に求められる対応策について、考察しました。

 

《記事の要約》

総務省は、2026年9月20日、「敬老の日」に合わせ、65歳以上の高齢者に関する人口・就業統計を発表した。

2026年9月15日時点の65歳以上人口は前年比2万人増の3624万人。

総人口に占める割合は0.2ポイント上昇して29.6%となり、過去最高を更新した。

日本人のおよそ10人に3人が65歳以上となる。

 

男女別では男性が1571万人で男性人口の26.3%、女性は2054万人で女性人口の32.6%を占めた。

人口4000万人以上の39カ国で比較すると、高齢者割合は日本が29.6%で最も高く、イタリア25.6%、ドイツ24.2%と続く。

 

高齢化とともに、働く高齢者も増えている。

2025年の65歳以上の就業者は943万人で22年連続の増加となり、比較可能な1968年以降で過去最多を更新。

65歳以上の就業率は26.0%で、高齢者のおよそ4人に1人が働いている。

全就業者に占める割合も13.8%と過去最高になった。

 

産業別では卸売・小売業が131万人と最も多く、医療・福祉122万人、サービス業108万人と続く。

一方、役員を除く65歳以上の雇用者586万人のうち、契約社員やパートなどの非正規雇用は446万人で76.1%を占めた。

 

企業の人手不足が深刻化する中、高齢者は日本経済を支える重要な働き手となっている。

一方、生活のために働き続けざるを得ない人への対応や、年齢・体力に応じた安全な職場づくりなど、「長く働く社会」にふさわしい雇用制度の再設計が求められている。

(要約、ここまで)

 

《筆者の考察》

65歳以上の就業者が943万人となり、働く人のおよそ7人に1人を占めるようになった。

もはや高齢者雇用は「定年後の特例」ではなく、日本の労働市場を支える一角である。

 

背景には二つの事情がある。

一つは本人側だ。内閣府調査では、高齢者が働く理由で最も多いのは「収入のため」だが、「老化を防ぐ」「知識や能力を生かす」といった理由も多い。

働けるうちは働きたい人も増えており、高齢者就労を単純に「年金だけでは暮らせないから」と決めつけることはできない。

 

もう一つは企業側の事情である。

少子化による人手不足の中、経験豊かなベテランは貴重な戦力だ。

特に製造、建設、運輸、医療・福祉などでは、技能や顧客対応、トラブル処理といった「マニュアルだけでは伝わらない知識」を若手へ継承する役割も期待できる。

 

しかし問題もある。

65歳以上の雇用者では非正規が76.1%を占める。 定年前とほぼ同じ仕事なのに、雇用形態や待遇だけが大きく変われば、意欲低下につながりかねない。

さらに、身体機能には個人差が大きい。単純に「70歳まで働いてもらう」のではなく、勤務時間、重量物作業、夜勤、暑熱作業などを本人の状態に合わせて再設計する必要がある。

 

企業に求められるのは、高齢者を「不足した人数を埋める要員」として使う発想からの転換だ。

ベテランを現場作業だけに固定せず、教育、技能伝承、品質確認、顧客対応、改善活動などへ配置する。

若手と高齢者を組ませれば、技能継承と生産性向上を同時に進められる。

 

政府も方向転換を迫られる。

現在、65歳までの雇用確保措置はほぼ全企業で実施されている一方、70歳までの就業確保措置を実施済みの企業は34.8%にとどまる。

政府は2029年までに40%以上を目標としている。

 

必要なのは定年延長だけではない。

職業訓練やデジタル教育、年齢に左右されない求人・再就職支援、職務に応じた処遇、安全な職場への設備投資を支援する必要がある。

同時に、年金だけでは生活できず「働かざるを得ない」人への所得保障も別の問題として考えなければならない。

 

ISO思考でいえば、人手不足という「リスク」を、高齢者の経験と知識を生かす「機会」に変える発想である。

目指すべきは「70歳まで働かせる社会」ではない。

働きたい人は能力を生かして働け、働けなくなっても安心して暮らせる社会である。
 

 

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