2026年9月3日付の「J-Cast NEWS」が、

『東大・本田由紀教授、彬子さま巡り「遺伝的要因のおそろしさを感じる」 日本教育学会は対応検討』

と題した見出し記事を報じていました。

 

以下に、この記事を要約し、東京大学大学院教育学研究科 本田由紀教授の投稿が非難される理由と本田教授が主張したかった本質とは何か、について、考察しました。

 

《記事の要約》

<東大・本田由紀教授のX投稿に批判 「遺伝的要因」発言、学会が対応検討>

 

東京大学大学院教育学研究科の本田由紀教授が、三笠宮家の彬子さまについて「遺伝的要因のおそろしさを感じる」などとXに投稿し、批判が相次いでいる。

本田氏が会長を務める日本教育学会は2026年9月3日、倫理委員会で対応を検討していることを明らかにした。

 

問題となったのは、2026年9月1日の投稿。

本田氏は、彬子さまやその親族を批判する別の投稿を引用し、「この人たちを目にするたびに、遺伝的要因のおそろしさを感じる。

露出の増加が逆効果になるかもしれない」と書き込んだ。

 

SNSでは、本人の具体的な言動ではなく、遺伝や血筋、出自と結び付けて否定的に評価することは差別的ではないかとして、「撤回、謝罪すべきだ」「教育者として不適切だ」などの声が相次いだ。

 

東京大学は取材に対し、投稿を把握しているとしたうえで、大学の構成員には「人権を尊重し、高い倫理観を持って行動」することを求めているとの原則を示した。

実際、東京大学コンプライアンス基本規則も同様の責務を定め、大学憲章では門地などによる不当な差別を排除するとしている。

 

一方、日本教育学会は、投稿は学会の公式見解ではないと説明し、現時点で倫理綱領上の評価は決定していないとしている。

 

政治や皇室制度への批判は自由な言論として保障されるべきだが、その批判を「血筋」や「遺伝」に結び付けてよいのか。

今回の問題は、SNS時代の研究者の発信責任と、批判表現の境界を改めて問いかけている。

(要約、ここまで)

 

《筆者の考察》

<「遺伝」と言った瞬間に失われた論点 本田教授が本当に問いたかったものは何か>

 

本田由紀教授の投稿が強く批判された最大の理由は、「遺伝的要因」という言葉を、人に対する否定的評価と結び付けたことである。

政治家であれ皇族であれ、その発言、行動、制度上の位置付けを批判することは当然あり得る。

しかし、「この家系だから問題だ」「遺伝的に恐ろしい」と読める表現になれば、本人には選択できない出生や血統によって人物を評価する発想へ近づく。

東京大学自身も、構成員に人権尊重と高い倫理観を求め、大学憲章では「門地」などを理由とする不当な差別の排除を掲げている。

 

しかも本田氏は教育社会学者で、家族、教育、仕事の関係や社会的不平等を長年研究してきた。

大学の紹介でも、家庭環境による格差や社会的公正を重要な研究対象としている。

本人も過去に、生まれた家庭環境によって人生が左右される状況を減らす必要性を論じている。

だからこそ今回、本人が選べない「遺伝」に人間評価を結び付けたように見える発言には、研究者としてのこれまでの問題意識との矛盾を感じた人も多かったのだろう。

 

では、本田氏が本当に主張したかったものは何だったのか。

本人が説明していない以上、断定はできない。ただ、引用した投稿の文脈から推測すれば、皇室や政治において血縁関係や世襲的な影響力が制度や権力と結び付くことへの警戒を表現したかった可能性がある。

 

もしそうであるなら、批判すべき対象は「遺伝」ではなく、「制度」である。例えば、特定の家系や親族関係が政策決定にどのような影響を持つのか、皇室制度や皇族費の変更にはどのような合理的根拠があるのか、と具体的な事実と制度に基づいて問えばよかった。

 

今回の最大の教訓は、正当な問題提起も、言葉を誤れば論点そのものを失うということだ。

「遺伝的要因」という刺激的な一語によって、本来議論したかったかもしれない権力、世襲、制度の透明性というテーマが吹き飛び、議論は発言者自身の倫理性へ移ってしまった。

 

ISO思考に置き換えれば、目的と手段の整合性の問題である。

社会的不平等を批判する目的であれば、その表現自体が別の差別を生まないかを確認する必要がある。

SNSでは「何を言ったか」だけでなく、「どう伝わるか」まで含めてリスクを考える。

それは研究者だけでなく、組織や企業、私たち一人ひとりにも求められる情報発信の基本ではないだろうか。

(※ 自分を変える“気づき”ロジカル・シンキングのススメ メルマガ1027号より)
 

 

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