2026年9月7日付のヤフーニュースで、大学ジャーナリストの石渡嶺司氏が、
『専門職大学、広がらず~新設3年連続無し、電動MSは募集停止、グローバルBizなど6校は大幅定員割れ』
と題した記事を投稿していました。
以下に、この投稿を要約し、なぜ、多くの専門職大学が定員割れになるのか、およびその対策と、専門職大学に進学するメリットとデメリットについて、考察しました。
《投稿記事の要約》
2019年、55年ぶりとなる新しい高等教育機関として「専門職大学・専門職短期大学」がスタートした。
専門職大学20校、専門職短大3校、専門職学科1校が開設され、当初は専門学校からの転換が相次ぐとの期待もあった。
しかし、その勢いは急速に鈍っている。
2024年の東北農林専門職大学などを最後に新設の動きは止まり、2027年度開設に向けた申請でも専門職大学は3年連続でゼロとなった。
既存校でも私立を中心に定員割れが目立つ。
2026年度、グローバルBiz専門職大学は入学定員98人に対して入学者56人。
かなざわ食マネジメント専門職大学など、大幅に定員を下回る学校もある。電動モビリティシステム専門職大学は開学初年度から入学者が極端に少なく、募集停止に至った。
専門職大学は、卒業単位の3分の1以上を実習・実技とし、4年制では600時間以上の企業などでの「臨地実務実習」を行う。
必要な専任教員のおおむね4割以上を実務家教員とするなど、一般大学より職業教育を重視する制度だ。
卒業時には学士相当の「学士(専門職)」が授与される。
一方、「専門学校と何が違うのか」「一般大学より就職に有利なのか」といった特徴が高校生や保護者に十分浸透していない。
少子化が進み、既存大学も情報、医療、ビジネスなど実学教育を強化する中、専門職大学独自の魅力が見えにくくなっている。
制度開始から7年余り。専門職大学は今、「新しい大学」という看板ではなく、卒業後にどのような能力とキャリアが得られるのかを具体的な成果で示す段階を迎えている。
(要約、ここまで)
《筆者の考察》
専門職大学の定員割れが目立つ最大の理由は、制度の「中間性」が強みであると同時に弱点になっていることだろう。
専門職大学は、専門学校のような実務教育と、大学の理論教育・学位取得を組み合わせた制度である。
授業の3分の1以上が実習・実技、4年制では600時間以上の臨地実務実習を行い、実務経験を持つ教員も多い。
少人数授業も基本で、特定分野への就職意思が明確な学生には大きなメリットがある。
企業の仕事を学生時代から経験でき、人脈形成や職業理解につながる点も強い。
ところが高校生から見れば、「資格なら専門学校」「幅広い進路なら普通の大学」という既存の選択肢の間で、専門職大学を選ぶ必然性が分かりにくい。
しかも通常の大学でも、インターンシップやPBL、企業連携、データサイエンス教育など実践型教育が急速に増えた。
専門職大学だけの優位性が薄くなったともいえる。
運営面のハードルも高い。
必要専任教員のおおむね4割以上を実務家教員とし、長期の企業実習先も安定的に確保しなければならない。
制度創設時の文科省審査でも、実習体制や実務家教員、教育課程の準備不足が多く指摘されていた。
さらに少子化で18歳人口そのものが減る中、知名度の低い小規模校は募集面で極めて不利である。
「専門職大学」というカテゴリーだけでは学生は集まらない。
対策は明確だ。
第一に、就職先、資格取得率、初任給、卒業後のキャリアなど「教育の成果」を積極的に公開する。
第二に、工業・商業・農業高校などとの高大連携を強める。
第三に、企業と共同で教育課程をつくり、卒業後の採用まで結び付けることだ。
デメリットもある。
専門分野が早期に固定されるため、途中で志望職種を変えた場合には一般大学より方向転換しにくい。
また、新制度ゆえ企業側の「学士(専門職)」への認知にも差がある。
専門職大学は失敗した制度と決めつける段階ではない。
しかし、「実務的だから学生が来る」という発想では生き残れない。
必要なのは学校をつくることではなく、産業界が本当に必要とする人材を育て、その成果を社会に示すことだ。
ISO思考で言えば、制度という「仕組み」を作った後こそ、その有効性を測定し、改善するPDCAが問われている。
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