2026年8月10日付の「THE GOLD ONLINE」が、
『買えると信じていた都内マイホーム、理想とはほど遠い現実 30代共働き夫婦のリアルな葛藤』
と題した見出し記事を報じていました。
以下に、この記事を要約し、都内でマイホームを持てる世帯は、どのような年収世帯なのか、また、都内のマイホームにこだわらないための生活をするには、どのようなライフスタイルを目指すべきか、考察しました。
《記事の要約》
<世帯年収1000万円でも遠い東京のマイホーム 変わる「普通の幸せ」>
「結婚したら家を買う」「30代までにマイホームを持つ」。
かつて一般的だった人生設計が、東京では実現しにくくなっている。
資材費や人件費の上昇、円安、富裕層や投資資金の流入などを背景に住宅価格が高騰。
2026年上半期の東京23区の新築マンション平均価格は1億4249万円と過去最高になった。
東京都足立区の賃貸住宅に暮らす33歳の会社員男性は、妻との世帯年収が約1030万円。
毎月15万円以上を貯蓄やNISAに回し、子ども2人と将来のマイホームを考えている。
当初は都心に近い庭付き戸建てを希望したが、中目黒周辺では億単位の価格が並び、現在の生活圏でも6000万円程度が現実的な検討ラインとなった。
夫婦は戸建てにこだわらずマンションも選択肢に加えたが、価格を抑えれば駅から遠くなるなど、通勤時間や利便性との交換条件を迫られる。
地方の実家はいずれも庭付き戸建てだけに、親世代との住宅事情の違いも実感している。
価格上昇の背景には建設コストだけでなく、東京への高所得者層の集中がある。
デジタル、金融、コンサルティングなど高付加価値産業が集まり、共働きの高所得世帯が職住近接を求めることで、限られた都心住宅を奪い合う構図が強まった。
一方、住宅ローン金利も無視できない。2026年8月のフラット35では、融資率9割以下の最頻金利が年3.5%となっている。
男性夫婦はいったん購入を急がず、現在の比較的安い賃貸住宅に住みながら資産形成を続ける考えだ。
「家を買うこと」そのものではなく、家族が無理なく暮らせることを優先する。
住宅価格高騰は、日本人のマイホーム観そのものを変え始めている。
(要約、ここまで)
《筆者の考察》
<「東京に家を買う」が普通ではなくなる時代 年収より大切な住まいの選択>
では、現在の東京でマイホームを持てるのは、どの程度の年収世帯なのか。
結論から言えば「世帯年収○万円なら買える」と単純には決められない。
ただ、2026年上半期の東京23区の新築マンション平均価格は1億4249万円に達しており、平均的な新築物件を一般的な会社員世帯が購入する時代ではなくなりつつある。
実際、住宅ローン利用希望者の2026年5月の東京平均を見ると、世帯年収は1178万円、借入希望額は7694万円だった。
これだけでも「年収1000万円」が富裕な住宅購入層というより、東京では一つのスタートラインに近づいていることが分かる。
目安をあえて示すなら、6000万円前後の物件なら世帯年収1000万~1200万円程度、8000万円級なら1200万~1500万円以上が、教育費や老後資金まで考えた現実的な検討層になってくるだろう。
1億円を超える物件では、1500万~2000万円以上の所得に加え、相当額の自己資金がなければ家計の余裕を保ちにくい。
ただし、これはあくまで概算であり、子どもの人数、頭金、既存の借入、金利、共働きを何歳まで続けられるかによって大きく変わる。
特に注意したいのは「借りられる額」と「返せる額」の違いだ。住宅ローンの審査では高い返済負担率まで認められる場合があるが、審査に通ることは生活に余裕があることを意味しない。
しかも2026年8月のフラット35の最頻金利は年3.5%まで上昇している。
子ども2人なら教育費、住宅の修繕費、固定資産税、老後資金まで含め、「住宅にいくら払えるか」を逆算すべきだ。
そこで発想を変えたい。
「東京に家を所有すること」を人生の目的にしない暮らしである。
第一は、職住近接より「時間の自由」を買う考え方だ。
テレワークや時差勤務が可能なら、東京23区にこだわらず多摩、埼玉、千葉、神奈川へ生活圏を広げる。
第二は、賃貸+資産形成である。
家を買わず、住宅価格との差額をNISAなど長期資産形成へ振り向ければ、転職、子どもの進学、介護にも柔軟に対応できる。
ただし東京では賃料も上昇傾向にあるため、「賃貸なら永久に安い」と考えるのも危険だ。
第三は「新築・駅近・23区・広さ」の四つを全部求めないことだ。
中古住宅、郊外、コンパクト住宅、リノベーションなどへ選択肢を広げれば、住居費を人生全体の一部分に戻せる。
住宅は人生の目的ではなく、生活を支えるインフラである。家のために旅行も教育も老後資金も削るなら、本末転倒だろう。
これからの豊かさとは「東京に家を持っていること」ではなく、住む場所を選べる経済的自由を持つことなのかもしれない。
これも、目的から手段を考える「ISO思考」に通じる発想である。
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